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『終わったぁぁぁ!』

「うるさい」

今日は終業式。
明日からは冬休みに入る。
この終業式の日をどれだけ楽しみにしていたか。
理由はいくつもあるが、大きな理由は羽葉さんに会わなくていいということだ。
毎日のように来ていたが、それももう終わり。
そう考えると、嬉しさが滲み出てしまう。
そして、終業式のためすぐに終わる。
中学の終業式の日と同じため、Aとの時間が増える。
そのため、笑顔がずっと耐えない。
あーあ、はやくAに会いたいなぁ……

「真冬、行くよ?」

『はーい』

「……上機嫌だな」

『そう見える?』

「そうにしか見えない」

呆れたようにため息をつく彼方。
僕は自分の頬にそっと触れた。
緩いなぁ……

「……真冬、あのさ……中学の方が、早くに終わると思うだろ?終業式」

『普通はね』

「なのに、Aがいない」

そう言って門を見る彼方の視線を追って、僕も門を見た。
たしかに、いつも見えるAの姿はない。
いつものことなら、いるのに……
先に帰ったとしても僕達に連絡を必ずくれる。

『……日直とか?』

「朝早めに出てなかったろ」

たしかに……
なんて思いながら考える。
長引いてるということはない。
他の人達がたくさん出てきているから。
3年生までも。
……うーん。
僕達の横を通りすぎようとした1年生の腕を掴んだ。

『あの、1年生って、皆が下校ですか?』

「あ、は、はい!そうです!」

『ありがとうございます』

にこっと笑うときゃあああという歓声があがる。
女の子達の頬は赤く染まっていった。
僕は掴んでいた腕を離すと、また校舎の方へ向き合った。
すると、柚季達が出てきた。
柚季は僕達の姿を捉えると不適に笑った。
そして、僕の横を通るときに

「早く見つけてあげないと……可哀想だよ?」

とギリギリ聞こえる声で呟いた。
僕は振り向くと、冷や汗をたらした。

『っ……彼方!Aが……!』

「……行こ」

彼方は僕の手を握って引っ張った。
あのときの危険信号は、きっとこれ……
あーもう!
僕があのとき忘れてなければ!
ごめんね、A……
僕の目から涙がこぼれた。

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朝日菜薔薇 - JOKER2さん» ありがとうございます!気長に待ってくれると嬉しいです! (2020年3月25日 11時) (レス) id: 602e3f55c9 (このIDを非表示/違反報告)
JOKER2 - 更新頑張って下さい。応援していますよー!続きがすごい気になるなぁ…。 (2020年3月16日 10時) (レス) id: 226d68d24b (このIDを非表示/違反報告)
朝日菜薔薇 - ゆなさん» 更新が遅れてしまいごめんなさい。少しずつ進めていきますので、気長に待っていてください! (2020年3月9日 22時) (レス) id: 602e3f55c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 更新止まってますよ〜 (2020年1月1日 8時) (レス) id: c843a619c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あづの ひみ(元朝日菜薔薇) x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/AdAsnhmp/  
作成日時:2019年8月15日 23時

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