【utit】黒く染まったクリスマス【A f t e r t h e R a i n】

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「真冬くん……私、真冬くんのことが好きなの！付き合ってくれる？」

『…………』

柚季は僕に姉の告白を断るな。
そう言った。
そしたら、教えてあげるって。
……断るな、だよね？
なら……

『ごめん、ちょっと考えさせて……』

溜める。
これは、断るのうちには入らない。
あれ？
僕って結構、頭いい？
そんなことを思って校舎を出ると、彼方が門のところで待っていた。

「真冬……」

『彼方、安心して。付き合ってないから』

「断ったの？」

『ううん。考えさせてって言った。あっちの要求は断るな、だからね。付き合え、じゃない』

そういうと彼方は納得したように頷いた。
そして、僕達は今日もAの学校へ向かった。

『というかさ、先生はどうしてるのかな』

「さぁ、クラスの印象のために見ないフリしてるんじゃない？」

『最っ低……』

「もしくは、いじめを先生もしているとか」

『もっと最低！最悪！』

「まず、気付いてないかもしれないし」

……それはあるかも。
いじめは堂々か裏でするかのどっちかだ。
堂々としているなら、それを鵜呑みにしているということになる。
それは許せないが、もしも裏でされていたら？
そんなの、誰も助けられないし、分からない。
……ダメだ……
考えれば考えるほど吹き出てくる怒り。
Aはどっちにしろ傷付いていたのに、僕はずっと……
ため息が出る。
こんな僕が出来ることはなんだろう……

「……ふゆ……真冬」

『あ、ごめん』

「ボーッとしてること多くない？大丈夫？」

『……大丈夫……だと良かったんだけどね……』

「あんま一人で抱え込むなよ。お前はすぐに自分を責める癖があるからな」

そう言って僕の頭を撫でた彼方。
……彼方も抱えて自分のこと責める癖あるのに。
撫でられたところに触れて、僕はそんなことを思った。

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