第捌話 ページ10
｢済まなかったね、突然こんな所に入れてしまって。出て来て呉れて構わないよ｣
どうやら扉を開けたのは、太宰さんだったようだ。
立ち上がり部屋を出ると、窓硝子は全て割られ、机もボロボロになっていた。
｢どうして、あの人はこの部屋に気付かなかったんでしょうか……｣
太宰さんに尋ねると、こちらをちらと見てから呼びかけた。
｢谷崎くーん！｣
太宰さんがそう言い手招きをすると、谷崎さんが此方に駆けて来た。
｢彼が、君が居たのがバレなかった理由さ｣
太宰さんがそう云うと、谷崎さんは頭をポリポリとかいて、苦笑いとも微笑みともとれない笑顔を見せた。
｢彼もここに勤めているからには異能力持ちでね。それが所謂幻覚を見せる異能力で、君の居た部屋の扉を見せないようにしていたのだよ｣
｢地味な異能力ですけど…お役に立てて良かったです｣
｢いえ、有難う御座いました……助かりました｣
そう云い、お辞儀をする。
｢まァ、彼女の力で中也に見えないようにする事も出来たのだろうけど｣
｢酷いです太宰さん……！｣
確かにそうですね、何て言えず、二人が話しているのを見ていると、国木田さんが此方へ来た。歩き方と雰囲気で分かるけど、随分と怒っているようだ。
｢太宰！確かに昨日ポートマフィアの誰かが来るとは聞いていたが何の前触れも無しに突撃され探偵社はこの有様だ！また近所に謝りに回らなければならないし大体窓や机の修理費に幾ら掛かると思って……｣
｢まァまァ、許して呉れ給えよ国木田君。彼女を護れたのだから良いじゃないか｣
｢…それはそうだが、そもそもこの娘が此処に来なければこんな被害は出なかったのだ、それにこの娘を社員にするなど俺は認めない｣
社員、という所に違和感を覚えたが、気にしないでおいた。
すると、太宰さんが此方を見て小声で言った。
｢Aちゃん、これ直せる…？｣
そう言った太宰さんが指さしたのは窓硝子や机。
｢直せます…けど……｣
｢じゃあお願いしても良いかな｣
｢はい、大丈夫です……｣
話し終わると、太宰さんは国木田さんの方を向いて言い放った。
｢国木田君！見給え｣
捲し立てるのをやめた国木田さんと、ニコニコしている太宰さん、それに戸惑っている谷崎さんが一斉に此方を見る。
急いで窓硝子に近付く
｢……｣
見られながらも、窓硝子と机を直していった。
ああ、矢っ張り、……人を傷つけるよりも、人を救ける方が、気分が良い。
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捺16 - 九尾 シヨさん» コメント、そして嬉しい言葉ありがとうございます！なかなか更新出来ない日が続いてしまっていますが、そんなコメントを頂けるととても嬉しいです！これからもどうか気長にお待ちくださいませ…！ (2017年9月23日 17時) (
レス) id: fb627c24bc (このIDを非表示/違反報告)
九尾 シヨ(プロフ) - 面白いですね！ 頑張ってください♪(*^^)o∀*∀o(^^*)♪ (2017年9月10日 17時) (レス) id: 68aec8586a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：捺16 | 作成日時：2017年8月14日 23時
