第漆話 ページ9
｢え…？｣
太宰さんは娘と云うのが私だと分かっている筈なのに、何故知らない振りをするのか理解出来なかった。
｢恍けるな！あの変な力を持つ奴だ。手前があの娘と会って此処に連れて来たのも知ってる。今も此処に居るのはもう分かってんだ｣
｢ああ、彼女の事か！確かに私は恥ずかしながら助けてもらったよ。お礼に探偵社にも連れて来た。けどその後会ってはいないし、今此処にも居ない｣
太宰さんはそう言うけど、私は此処にいるし、あの中也とか云う人が此処の扉を開けたら終わりだ。話してなんかいないで、反撃するべきだろう。
｢そんなモン、此処の部屋を調べてけば分かる話だ｣
｢構わないよ｣
｢！？｣
拙い、この部屋を調べられたら終わりだ。そんな事誰でも分かる。それなのに、あんな簡単に調べさせるなんて、どうかしてる…！
まさか、敢えてこの部屋に入らせてその後は私に任せるなんて考えてはいないだろう。
でも、有り得なくはない。私が攫われても武装探偵社の人達にとっては何の損失もない。けど、それだと私をわざわざ隠した意味が無い。
拙い、扉が次々と開けられていく音が聞こえる。このままだと、直ぐにここにも…！
｢っ、…よし……！｣
此処に来る事が分かっていれば、入ってくる瞬間にどうにか出来る。
瞬間移動も考えたけど、そんな事をすれば太宰さん達が来た時に逆に迷惑がかかる。
自分でどうにかするしかない。
勢いよく扉が開けられて行く。もう直ぐ此処も開けられる。
すぐ近くだと思われる扉が開けられた。
平気だ、きっと。
立ち上がり、身構える。
｢はっ、はっ、はっ……｣
相手は恐らく普通じゃない。太宰さんと知り合いなら異能力とやらを持っている筈だ。
鼓動が早まる。もしかしたら、死ぬかも知れない。
扉をきっと睨みつけ、待ち構える。
｢………｣
しかし、いつまで経っても扉が開けられる気配はない。それどころか、どんどんと足音が離れて行く。
｢ﾁｯ……次は首領直々に来ると思っとけ｣
中也という人はそう云い、コツコツと出て行った。
何故、この部屋に気付かなかったのだろう、扉だって普通にある。
色々と考え込んでいると、扉が開いて真っ暗だった部屋の中に光が差し込んで来た。
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捺16 - 九尾 シヨさん» コメント、そして嬉しい言葉ありがとうございます！なかなか更新出来ない日が続いてしまっていますが、そんなコメントを頂けるととても嬉しいです！これからもどうか気長にお待ちくださいませ…！ (2017年9月23日 17時) (
レス) id: fb627c24bc (このIDを非表示/違反報告)
九尾 シヨ(プロフ) - 面白いですね！ 頑張ってください♪(*^^)o∀*∀o(^^*)♪ (2017年9月10日 17時) (レス) id: 68aec8586a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：捺16 | 作成日時：2017年8月14日 23時
