【文スト】君が愛しくて【男主】【短編集】

中原 中也【飲んだ後に】 ページ4

「はは、失敗したのか梶井!」


僕は飲み仲間の
梶井、広津、中也さん達と久し振りに
飲みに来ていた。

梶井が武装探偵社の女性社員に
派手にやられたっていう話をしていて。


「いや〜、あれは正直油断したな〜」


失敗したっていうのに笑っている
梶井を見て、呆れた様に溜め息を吐く広津。


「もう少し緊張感を持って仕事をするべきではないのかね」

「広津も探偵社の社員に返り討ちにされた癖に」


ニヤニヤしながら広津の言葉に返事をすると
苦い顔をされた。


そうやって喋りながら
僕達はいつものように飲んでいた。


でも珍しい事に、
いつも太宰さんの事を愚痴る筈の
中也さんが一言も話していなかった。


変だな……とは思いながらも
僕は梶井と広津をからかうのが
楽しかったから、あまり気にせず
話を続けていた。



*


「結構飲みましたね〜」


梶井と広津と別れて、
僕は中也さんと帰っていた。

……でも、少し中也さんの様子が
いつもと違っていて。


「中也さん?」

「…………ンだよ」

「いえ、あの……もう僕の家着いちゃいましたし」


中也さんの様子が違うのは気になったけど
あまり詮索されるのは嫌だろうから
僕は早めに退散する事にした。



……のだが。



「………は」


玄関を開けたのと同時に
中也さんに押し倒される僕の体。

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