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国木田 独歩【不器用】 ページ23

カタカタとキーボードを打つ無機質な音だけが室内に響く。

しかもリズミカルで超速い。

思わず睡魔が僕の元に歩み寄ってきて欠伸を誘う。

「国木田ぁ」

「……」

集中しているのか聞こえていないらしい。

「国木田ってばぁ」

「黙って仕事をしろ阿呆め」

…すごく辛辣。
仕事が立て込んでるのか?

僕が先刻確認した時はそんな日程には見えなかったけど。

他にもう人が居ないってのによく働く男だ。

「国木田何か面白いことしなさいよ」

これも無視。

いいよ。
やってることは急ぎの仕事じゃないことは確認済だから。

探偵社流実力行使を見せてしんぜよう。

「うおらっ」

「なっ!?」

国木田に背後から抱き着いてみる。

そして直ぐに離す。

「仕事場に私情は持ち込まない約束だろうが!」

「だって今誰もいないじゃない。皆仕事終えて帰ったのに、定時になってないからってお前だけ残っててさ」

真面目で堅物で頑固。
人間以外に生まれてたら防波堤だろうな。

「ならお前だけ帰れば良いだろう」

「優しいから恋人の帰りを待っててやってるんだ」

1人で夕暮れ時を歩くなんて。
学生が仲睦まじく歩いていたらどうしろっていうんだ。
寂しくなっちゃうだろ。

「なぁ国木田ぁ、帰ろうぜ?」

肩を揺さぶっても無視。

「おいおい無視?拗ねるよ僕は。拗ねたら太宰よりも面倒だよ?」

「…」

ちぇ。

じゃあ静かに独り身で帰るとしますか。
たまには恋人らしくくっついて帰ったって良いだろうに。

「……んじゃお先」

国木田の肩をぽん、と叩いて帰ろうとすると腕を掴まれる。

な、何だ?文句でもあるのか?と考えている間に顔が近付いて、唇が重なる。

















……と思いきや思いっきり歯が当たった。

「イッッッ_____ダ!?」

悶絶する。

馬鹿みたいに痛い。国木田の阿呆。

「何すんのさ!?」

怒りで拳を突き上げて国木田を見ると、国木田も痛みに悶絶していた。
ちょっとザマアミロとは思ったね。

「……す、すまん」

口を押えながら謝られた。

「その……私情でも恋人らしいことが出来ずに不満だろうとは感じていたが」

「まぁ何だ、あー………」

見る見る顔が真っ赤に染まっていく国木田。

「……恋人が願っていることの1つはしてやりたいと思ったのだ、俺も…」



その一言で僕も顔がぶわわっと赤くなった。

**********************

霰さんリクエストありがとうございました!

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胡桃バター(プロフ) - りんごあめさん» リクエストありがとうございます!執筆までしばらくお待ちください (11月10日 1時) (レス) id: 55a2e79d32 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ - 森さんとのお買い物デートが読みたいです! (11月3日 18時) (レス) id: bd46442a68 (このIDを非表示/違反報告)
マーガリン - ありがとうございます!! (2023年4月4日 8時) (レス) id: 7ba1c946a0 (このIDを非表示/違反報告)
胡桃バター(プロフ) - マーガリンさん» リクエストありがとうございます!慣れないキャラではありますが、精一杯書かせていただきますので、しばらくお待ちください。 (2023年4月3日 22時) (レス) id: ed4c5148d7 (このIDを非表示/違反報告)
マーガリン - 小栗さんのヤンデレってできますか? (2023年4月1日 8時) (レス) @page33 id: 7ba1c946a0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡桃バター | 作成日時:2016年6月19日 22時

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