人嫌いな彼女【中原中也】 (ページ22)

今日:3 hit、昨日:16 hit、合計:17,199 hit

お買い物ページ22

夏祭り三日前
樋口｢夏祭り用の着物どうしようかな…
　 Aは決まった？｣

『え、私、着物持っていないよ？』

樋口｢えぇ！？｣

『普段の服で行けば良いんじゃないの？』

樋口｢中也さんとの接物をわすれたいんでしょ。
　なら、形から入らないと！
　それに、皆も着てくると思うけど？｣

どうしよう…
というわけで、いっちゃん、銀ちゃん、私で
着物を買いに行くことになりました。

樋口｢わざわざ休みまでとったんだし、
　満足いくまで見てまわろ！｣

いっちゃんは久しぶりの休みだからか、
とにかく楽しそうだ。

『えぇ…』

銀｢Aさん。
　人が嫌なのはわかりますが、今日は我慢しましょう。｣

いつもとは別人のような格好をしている銀ちゃん。
冷静な感じで言っていたけど、
顔がゆるんでいるのがわかる。

樋口｢というか、尾崎幹部は呼ばなかったの？｣

『あ、えっと…
　紅葉さんは大量に着物を私に着せてきた事があって…』

二人は直ぐに察してくれた。
年齢が近いと話しやすい
この二人を誘った理由の一つでもある。

1時間後＿＿＿＿

『ご、ごめん…ちょっと気分悪くなっちゃったから
　あのお店で休んできていい？』

すっかり人の多さのせいで気持ち悪くなってしまった…

銀｢勿論。無理しないで下さいね。｣

銀ちゃんはなだめるように優しく笑う。
あぁ、本当に優しい…
涙が出そうになるのを抑える。

樋口｢あっもうこんな時間！｣

『じゃあ此処で解散にしよ。』

またねと手を振る。
お店に入り、カフェラテを頼む

『はぁ…疲れた…』

？｢そこのお嬢さん｣

ため息をついていると
聞き覚えのある声の人に話し掛けられた。

『だ、太宰さん！？』

太宰｢やぁ。久しぶりだね。｣

太宰さんは軽く笑う
そして昔の記憶が溢れてくる。
懐かしいなぁ……

『どうして此処に？』

太宰｢いやぁ、ちょっと散歩していたら
　懐かしい小さな姿が在ったから。
　にしても、随分明るくなったね。｣

…？
何だか昔より太宰さんは幸せそうで
違和感がある。

太宰｢それより、中也とはどうなんだい？｣

『それが…』

私は起こったこと全てを話した。

太宰｢へぇ…中也にしては随分と大胆だね。｣

太宰さんは何だか楽しそう。
笑い事じゃないのに…
私は時計を見て、もうかなり遅い時間だと気づく。

『あ、すみません。もう帰らないと！』

太宰｢おや。もうそんな時間か。｣

じゃあねと笑いながら太宰さんは去っていった。