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「…手前…あん時の喋る狸か」


「狸じゃねーって何度言わせるんだゾ!」


出てきたモンスターは、耳に炎のある、自分のいた世界では見かけない容姿の小動物だった。それでもって、先程の入学式で火事直前まで暴れた迷惑なやつである。

しかし、暴れるか暴れないかは心底どうでもいい為、適当に質問した。


「俺の居る場所に忍び込むなんて良い度胸してンじゃねェか。どうしてそこまでしてこの学園に入りたいンだ?」


「た、単純な話なんだゾ!オレ様が大魔法士になるべくして生を受けた天才だからなんだゾ!」


何とも答えになるようでなっていないような返しに、馬鹿を見ている気分になった。どうもこの世界は、魔法がどうとか言っていても、多少は平和ボケしているらしい。

すると、狸のモンスター、否、グリムは聞いてもいないのに話し始める。


「いつか黒い馬車が迎えに来るのを、オレ様はずっとずっと待ってた。なのに…なのに……ふ、ふん!闇の鏡も見る目がねーんだゾ」


「……まァ…見る目はねェだろうな」


闇の鏡の言っていた事を思い出して頷いた。「どんな寮にも適している」なんて、そんな適当な事を言われればそう思うのも仕方ない。

「だからオレ様の方から来てやったって訳だ」と話すグリムは、随分と偉そうである。


「オレ様を入学させないなんてこの世界の損失だってのに、ニンゲン共は分かってねーんだゾ」


「手前のその意志の強さだけは称えてやるよ」


「もっとオレ様を褒めるん……に゛ゃッ!つめてっ!天井から雨漏りしてやがるんだゾ!」


グリムがいきなり変な声を上げるものだからそちらを見た。するとまた「ふぎゃっ!?」と声を上げるグリム。


「雨漏り…ねェ。放っとく訳にもいかねェな」


「こんな雨漏り、魔法でパパーッと直しちまえばいいんだゾ」


「俺は魔法の使い方をまだ良く知らねェし、例え重力で防いだとしても、一晩中使うのは御免だ」


「オマエ魔法使えねえのか。ププーッ!使えねえヤツだゾ!」


グリムが煽ってきた為、ドスの効いた声で「あァ?」と言った。


「ひ、ひぃ!冗談なんだゾ!」


「へいへい、ンじゃ手伝え狸。バケツ探しに行くぞ」

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雪見だいふく - ちゅやかっこえぇ┏( ^ω^ )┛ (2021年10月24日 22時) (レス) @page41 id: 7c6b1438f9 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー大好き!!(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!更新頑張ってください!! (2020年10月6日 0時) (レス) id: 2d39102061 (このIDを非表示/違反報告)
苑歌(プロフ) - やばい。面白すぎます!続きがめちゃくちゃ気になります!こんな感じの話を求めてました!応援してます!無理はしないでくださいね。 (2020年9月19日 22時) (レス) id: b9c45128c7 (このIDを非表示/違反報告)
死の林檎@Get along同盟???????(プロフ) - ぎゃあァァァァァ(((うるせェよ ktkr(^q^) ファンです!!頑張って下さい!応援しています!一生ついていきます!!! (2020年7月6日 16時) (レス) id: 6c1b6d3d5d (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 仁兎さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです! (2020年7月5日 21時) (レス) id: ff02591f43 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2020年5月11日 12時

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