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一件落着。 ページ31

身体に感じる風、それと傷の痛み。



それらを感じて薄っすらと目を開けると目の前には海が広がっていた。





「…う、海…?」





思わず声を上げると、腹部に手が回っていることに気づく。





「…Aさん」


「龍之介!?」





速やかに状況を把握すると、恐らくこうだ。


制御室に入って来た人虎と龍之介が目にしたのは血だらけになって横たわるボク。

目を瞑る寸前に聞こえた声は龍之介の声だったのか。



そして無論龍之介はボクを運んだ。



…龍之介の目の前に倒れれば必ず龍之介はボクを助ける。考えれば簡単にわかることだ。





「………め、迷惑を掛けたな…」


「僕も昔から貴方には世話になっていますから」





相変わらず抑揚のない声で言うが、その声には僅かの心配味を帯びていた。


龍之介はボクを地面に落とすと、地に堕ちる白鯨の方を見た。





見渡すと人虎もいるのが見えた。俯いている。

恐らく泉鏡花が自爆してしまったと勘違いをしているのだろう。





「………結局、ボクもしぶとく生き延びてしまったと言う訳か。」





ゆっくりと立ち上がり、太宰が来る前に去ろうと白鯨と逆方向に足を向けた。





「Aさん、どこに行くのですか?」


「…さあ、ボクにもさっぱりだ。」





その一言に、龍之介は終ぞ口を閉ざした。









あー、これでやっと一件落着。

ボクの大掛かりな仕事もひと段落だ。





これからどうしたものか。





そんなことを考えながら特務課へと足を運ぶ。
と、そこで歩みを止める。



踵を返し、恐らく落ちた白鯨の調査をしているであろう安吾の元へ向かった。




この姿を見たら怒られるだろうなあ。なんて考えながら。

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紅月天音(プロフ) - 桜紅葉さん» 本当にありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります! (2017年2月26日 22時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桜紅葉 - お返事ありがとうございます。楽しみにしています。これからも頑張ってください。応援しています。 (2017年2月26日 16時) (レス) id: 54de0e772b (このIDを非表示/違反報告)
紅月天音(プロフ) - 桜紅葉さん» ありがとうございます!番外編の件も個人的に考えております。一応まだ終わらないつもりなので引き続き応援よろしくお願いします!! (2017年2月25日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桜紅葉 - この話サイコーです。その後談で夢主と太宰さんの番外編が見たいです。 (2017年2月25日 13時) (レス) id: 54de0e772b (このIDを非表示/違反報告)
紅月天音(プロフ) - あらりぶさん» ありがとうございます!不定期な更新ですみません…。もっと早くお話を届けられるように頑張ります! (2017年1月28日 15時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅月天音 | 作成日時:2017年1月17日 21時

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