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出会いの記憶2 太宰side ページ29

【過去2】



それから君は、私を見つける度に「大丈夫か?」と声を掛けた。


あれっきりならまだしも、「まだ言うのか」と内面呆れた。







「大丈夫か?」



ほらまた。







「あのねェ…前から言おうと思ってたけど、どこからどう見ても大丈夫じゃない?」





そう言うと彼女は少し考えた素振りを見せてから確信したように言った。





「君はいつも泣きそうな顔をしてて…なんだか放って置けない。」


「…なにそれ…………」






…心底馬鹿だ。馬鹿だよ君は。

でもなんだろう。ここにきてから初めて、『優しさ』って物に触れた気がする。




「…………君って馬鹿だね」


「…太宰には言われたくない。」




そうだね。私も馬鹿だ。


君のその優しさに、もっと触れたいと思ってしまった。





ポートマフィアの太宰治を。ではなく、ただの太宰治として私を心配してくれた君に喜びを感じてしまった。





「…A」


「…いきなり名前呼びか」


「A」


「…なんだ」





あぁ、どうしよう。呆れた顔も愛おしい。

とうとう末期だ。とうとう壊れた。私の頭が。





「…A」


「…………………」




「君に惚れてしまいそうだ」




「な、き、君はなにを言ってるんだ!」






そう言って強めに叩かれた頭がジンジンと痛む。

そうやってすぐ赤くなる顔も、照れるとすぐ手が出るところも。


もっと知りたいと思ってしまった。






思えば、私は彼女に出会ったときから、彼女と言う『光』に惹かれていたのかも知れない。






*






【現在】





どうしよう、彼女のことばかり考えてしまう。

笑顔が見たいし、真っ赤な顔も見たい。むしろ照れて殴られたい。…いや、そう意味じゃなくて…。





とにかく。






「この件が終わったら、絶対迎えに行くから」






その決心の篭った瞳を開くと、無線機を手に取るのだった。

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紅月天音(プロフ) - 桜紅葉さん» 本当にありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります! (2017年2月26日 22時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桜紅葉 - お返事ありがとうございます。楽しみにしています。これからも頑張ってください。応援しています。 (2017年2月26日 16時) (レス) id: 54de0e772b (このIDを非表示/違反報告)
紅月天音(プロフ) - 桜紅葉さん» ありがとうございます!番外編の件も個人的に考えております。一応まだ終わらないつもりなので引き続き応援よろしくお願いします!! (2017年2月25日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桜紅葉 - この話サイコーです。その後談で夢主と太宰さんの番外編が見たいです。 (2017年2月25日 13時) (レス) id: 54de0e772b (このIDを非表示/違反報告)
紅月天音(プロフ) - あらりぶさん» ありがとうございます!不定期な更新ですみません…。もっと早くお話を届けられるように頑張ります! (2017年1月28日 15時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅月天音 | 作成日時:2017年1月17日 21時

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