初めましてのメェメェメェ。【文スト 青時代 中原中也】

二十八匹 ページ36

ノーサイド
〜首領室〜

「哉悪いことしてない。もう一ヶ月もご飯食べてなかった。お腹空いてたもん……」
「足りないって言葉が神火の逆鱗に触れたみたいで完全にぶちギレてたね」
「でも今日は幸運でした……」

偲粋の言葉に注目が集まった。

「本当にぶちギレてたら……その子死んでますもん」

さらりと吐かれた言葉に三人は青ざめる。
怒りで人間が殺せるのか……(憎しみなどの怒りは別として)

「……ところで、血の対価は何だったんだい?」
「死体の処理。もう塵ひとつ残ってない」
「へぇ……」

森の目が細くなった。

「哉君、君をポートマフィアに迎え入れよう」
「……」
「そんなに睨まないでくれ偲粋君。言われずとも狼には近付かせないよ」
「……狼に一歩でも踏み込めば……」

初めて偲粋が殺気を見せる。

「食い殺すから。其のつもりで」
「主に逆らうものには容赦無いね……」

苦笑の森だが中也の顔は晴れない。

「何かあったかな?」
「いや……哉が入るってことは神火が攻撃するんじゃねぇかって……」
「そこは君の力を使えば良いだろう?」

ばっと顔をあげた中也の目に写ったのは真っ黒な笑顔を浮かべる森。

「君の命令に和魂の彼女は逆らわない。そうだろう?」
「知ってたんですね……」
「わぁ。森さんひっどーい」
「合理的解決策だよ」
「……」
「哉、此処に居て良いの?」

中也を見上げた哉は心配そうだ。
それを安心させるように微笑み頭を撫でる中也。

「あぁ。俺が守るからな」
「やったぁ!」

偲粋はなんとも言えない顔で中也を見つめた後立ち上がり部屋を出ようとする。

「中原さん。少し」
「?あぁ」

ーーーーーーーーー

「さて。どう転がるかな」
「彼女がやっちゃいそうな気がするけどなぁ……」
「選択は彼次第さ。彼が選ぶんだ」
「狼って一旦敵と見なすとずっと敵対するけどね」
「どちらにせよ私に損はない」
ーーーーーーーーー
〜廊下〜

「(本当に屑みたいな奴……どうせ僕がこれを知った上で何もできないことを知っている)」
「偲粋?」

考え込んでいる偲粋に心配そうに声をかけた中也はこの先言われることが何と無く分かっていた。

「僕からは……特に何も言いませんよ。只一つだけ忠告です。それと重ねれば楽かもしれません」

驚いた顔から察するに思っていたことと偲粋が言い出したことが全く違ったのだろう。

「でも……それはあの子…哉への冒涜です。しっかり考えてください」
「どう言うことだ?」
「あの子はあの子。それはそれ」

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