好きになっても良いですか？（赤）

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重岡side



車をマンションの横に停めてLINEを送る


目的地までのルートを確認しようと携帯で検索していると、コンコンッと音がして助手席側の窓を見る




白いキャップを被ったAはさっきと違う雰囲気だ






中からドアを開けると、『お待たせしました』と助手席に座る




ふわっと香る少し甘い匂いと、揺れるイヤリングにドキッとした






あえてそこには触れずに「キャップお揃いみたいやな」と笑うと、Aも『たしかに』とはにかむ







楽しさとなんとも言えない少しむずがゆいような感覚


付き合いたてのカップルみたいやな...








「よし、出発すんで！シートベルトしてや！」


なんとかドキドキを抑えたくてテンションを上げる






『はーい！』


笑顔で手を挙げるAが可愛くて、結局ドキドキはおさまらなかった。









運転しながらよく聴くイナズマ戦隊


いつもの感じで口ずさんでいると、『この曲好きなの？』とAがこっちを見る






「せやねん！

男らしくてカッコえぇやろ」




自分の好きなものを知って欲しくてそう答えるけど返事がない






もしかしてあんま好きじゃない感じやったんかな？


そう思って少し焦っていると、









『...歌ってる大毅くんがカッコいい』









へ？



小さな声やけどハッキリと聞こえたその言葉に一気に顔が赤くなるのが分かる





「ちょっ...やめろやっ//////」




左手で口元を隠すけど、動揺が隠しきれない








『顔赤いよ？』


わざと覗き込むようにして見てくるAはにやにやしている





家でぽろっと俺のことかっこいいって言った時はあんなに照れてたくせに






「おぼえとけよ？」



Aのキャップのつばを掴んで下にガッと下げる





『きゃっ

何も見えない！手離してよー』




手を離さない俺に必死に抵抗する姿も可愛い







「あかん、お仕置きや」





そのままキャップを奪い膝に置くと、空いた手で髪をわしゃわしゃと掻き回す





『ひどいっ
せっかくきれいにしてきたのにー』



そう怒りながら髪を整えるAに顔を近づけて「へぇー、誰のために？」と聞くと、一気に顔が赤くなる









俺のする事にこうやって反応するのを見ると嬉しくなる


いじわるして喜ぶって...俺は小学生かっ



心の中で自分にツッコむ

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