無頼派 一 ページ21
「あ〜やっときたなぁ」
「悪い!」
「私が引き留めたせいだよ」
そう言いながら四人でお風呂に入る
俺が自慢げに太宰が俺の小説を評価してくれたことを話すと
「なーなー、ワシの本も読んだか?」
そう言ってオダサクが太宰を見る
太宰は包帯を外さなかった
「読んだよ。君の夫婦善哉」
「え、一気に二冊読んだの?」
「私は戦闘はからっきしだから合間の時間にね」
「……俺の小説は?」
「まだ途中」
そう言って太宰がお湯に浸かる
「なーなー、包帯外せよ、怪我してるのか?」
そう言うと太宰は左手をお湯から出す
「……怪我してるのだよ。染みる」
「ならその全身の包帯は?」
「これも傷」
そう言いながら頑に外そうとしない
「……で?ワシの小説はどうやった」
「一言で言ったらダメ男に何故か尽くしちゃう女性の話でしょ?普通だったらイライラするだけだけど……君の文が上手いからか尽くしてしまう理由が判る気がした」
そう言って太宰は思い出したのか少し笑う
「……織田作も、小説家になりたがってたんだ」
「オダサクってそっちの?」
そう聞けば太宰は静かに頷く
「織田作はポートマフィアに居たのに、人を殺さない“殺さずのマフィア”だったんだ、とても才能があるのに。彼は小説を書くために殺しをやめた。でも……小説家になれなかった」
そう言って太宰は風呂場の窓の外を見る
「いつか、海の見える部屋で小説を書くことは叶わなかった」
そう言って太宰は左腕もお湯の中に入れた
89人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杏奴(プロフ) - こちらの小説を初期から読んでいました。完結しているようですが、番外編として文スト×文アルの短編集を執筆していただけませんか? (2020年3月17日 12時) (レス) id: 528c02e07c (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 長音_chinon_さん» ありがとうございます! (2019年10月19日 11時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
長音_chinon_(プロフ) - 完結おめでとうございます!楽しかったです! (2019年10月18日 22時) (レス) id: a14d8293f8 (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 歴史馬鹿さん» ありがとうございます! (2019年10月14日 17時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
歴史馬鹿 - リュカさん» ふふふふ新作おめでとう (2019年10月13日 21時) (レス) id: 9576c83dfa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リュカ | 作成日時:2019年10月10日 11時