私は霊感があるだけのモブだと思うんですけど…？

34*叫び声 ページ35

ウィーンとスーパーの扉が開く。


何処にでもありふれたそのスーパーは、今は晩御飯のおかずの買い出しに忙しい主婦で溢れ返っている。

外よりも賑やかではないかと感じるくらいに。



「…あら？」



ふと女が上を向けば、真っ青のキャンバスにほの暗い灰色がまばらに浮かび上がっていた。


天気予報では一日晴れだと言っていたのに。


ため息を吐きながら女は帰路を急ごうとスーパーから出ようとした…





その時だ、






「……、」



踏み出した爪先とは反対の方向に意識が行く。

クルリと振り向きその道に繋がるのはとある建物。



「…ハァ、仕方ないわね」



二度目のため息を吐いた女は、帰路とは真反対の方向に歩き出す。



「"少し遅くなる"って皆に伝えてちょうだい」



ボソリと呟かれた女の言葉。


それに反応するようにユラリと怪しく影が動いた。





ーーーーーーーーー

ーーー





鼻の奥にツンとした香りが突き刺さる。


そして何故か周りがとても騒がしいような……






　 ーーーギュィィイインンンッッッッ！！！


「ギャァァァァアアアアアッッッッッッッ！！！！！！！」



『えッ！ エッ！？ 何々！？！？』



騒がしいなんてレベルじゃなかった。


断末魔のような叫び声に思わず体が跳ね上がる。

だがその瞬間お腹にズキンと鈍い痛みが走り涙が浮かんだ。



『〜〜ぃ、ッたぁ…』



そのままヘロヘロと今まで寝ていたベッドに背中から戻った。


何これ…滅茶苦茶痛い…


ズキン、ズキンと痛みの波を擦りながら頭だけ動かして周りを見渡す。



『…ここどこ？』



カーテンで遮られてるけど見慣れない一室だった。

そのカーテンもシーツも白くて清潔感がある。

鼻につくこの臭いは何かの薬品だろうか？




病院…かな？ とも思ったけど、それはない。




「ヒギャァァアアアッッ！？！？」



「フッフッフ！

　さぁ次はコイツだよ！」



「へ、ちょ、まッ、ダァァアアア！！！！」




　 ーーーギュィインンンッッッ、ドスッドスッ、ドゥルルルルルッッッ！！！！









『……あ、う、』



うん違う！！ ここは病院じゃない違う！！！


さっきから聞こえる悲鳴を通り越した叫び声と凄まじい機械音にバサッと布団を頭から被った。

しかもチラチラ楽しそうな声も聞こえるし何ここ！！


本当にここどこなの！？



「あ、起きましたか？」


『へ？』



プルプルと震えていればカーテンの引く音が聞こえた。


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