32*うわ言 ページ33
ーー泣き声が聞こえた。
子供が流す大きな泣き声が頭の中で反響するように、聞こえたんだ。
『……？』
気づくとそこは何処かの教会のなのか、
ほの暗い空間に異質なほど色とりどりのステンドガラスが明るくて、
その暗い光の中に一つの白い背が浮かび上がって見えた。
『(…あれは、？)』
ボーッと薄らぐ輪郭に手を伸ばそうとした。
けれどその手は伸ばせなかった。
まるで目に見えないスクリーンがあるようで、
私はその背をスクリーンに反映された絵のようにしか見ることはできなかった。
そしてその背は更にその先の光景を見ていた。
ーー…う、うぅッ、
『…あ、』
ーー、グスッ、ヒック、
そこにいたのはいつか見た、小さな男の子。
肩を震わせ、ただ一人で声を上げて泣いていたのだ。
ーーー泣くのを止めろ！
ーーーッ、
パシイッ！
『…ッ！！』
一人の大人が男の子の頬を弾く。
それでも男の子は更に涙を増やすばかり、
けれども非道な大人はそんな男の子に言ったのだ…
ーー詮無く泣いて許されるのは負うてくれる親のある児のみ！
違うよ、
親にも捨てられたような餓鬼に泣く資格など無い！！
そんなことなんて無いよ…、
ーーッうわぁぁッッ！！
『…ッッ、！』
痛いぐらいに頭に響く。
泣き声が聞こえる、あの時以上に鮮明に聞こえる。
そこにいるのは知ってるよ？
ちゃんとあなたが泣いてるって分かってるよ…？
けれど私は手を伸ばせない。
私はただ、その光景を"見る"ことしか叶わない…
そしてそれを白い背中の人物も見ていた。
ただ静かに、こうなることが分かっているかのように、見つめていた。
違うよ、そんなことは無いよ？
『……ッ、』
そう言いたかった、その背中に。
小さな子供の時より成長してても、大きくなっていても、
酷く寂しく見える彼に言いたかった。
言葉を紡ぎたくても音が出ない。
空気がコポコポ抜けていくようで響いてくれない。
ただ聞こえるのは泣き声だけ。
私はそれを見ているだけ。
白い背中の人物も、そして小さな男の子を叩いた大人も、
涙を溢す小さな体を見るだけだった…
『……な、か、 な…で、』
そんなうわ言は一匹の白い虎の咆哮によりかき消された。
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ゴーゴリンゴ - 続き気になりすぎて夜しか寝れません!!!更新待ってます！ (2022年8月14日 14時) (
レス) @page38 id: 5a52c0f3ec (このIDを非表示/違反報告)
ノイズ - モブの設定どこ行きましたwww面白いです。更新頑張ってください (2019年10月22日 13時) (レス) id: 4f45d6607d (このIDを非表示/違反報告)
すーがく - 面白いです！！更新、楽しみにしてます！ゆっくりでいいですから！澪菜さんの作品読めるだけで幸せなので！ (2018年1月10日 12時) (レス) id: 9fb1372198 (このIDを非表示/違反報告)
澪菜(プロフ) - かさかさスライムさん» 返信遅れてすいません！もう本当にありがとうございます！自分のペースでなんとかやってみます！ (2017年7月31日 7時) (レス) id: 9b7e5b62dc (このIDを非表示/違反報告)
澪菜(プロフ) - 八雲さん» 返信が遅くなってしまいごめんなさい！ありがとうです、全然更新できなくてへこんでましたが元気出ました！ (2017年7月31日 7時) (レス) id: 9b7e5b62dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：澪菜 | 作成日時：2017年1月4日 23時
