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24*座敷童子 ページ25

あれから江戸川さんはもんじゃを頼み続け、

材料が底を尽きた頃ようやく満足したみたい。



「ふー食べた食べた、御馳走様ー」


『ほ、ほんとに食べましたね…』



作って焼いただけの私までお腹一杯になりそうだよ。

う、ソースの匂い服に付いたな絶対。


ポッコリと出たお腹を撫でる江戸川さんはそんなことを気にせず呑気にニコと遊んでいる。



『換気するんで窓開けますね』


「えーやだよ! 寒い!」


『ソースの匂いまみれになるのはさすがに嫌です。

 それにおばさんのお店ですからねここ』



ブーブー文句を垂れる江戸川さんを気にせず、台所に付けられた窓を開けた。


ーー瞬間、



『キャッ!』


「何ーどうしたの?」


『い、いえ何でもないデス…』



いきなり上から降って来た影に悲鳴が上がる。

けどそれは江戸川さんには見えない影。


ニコは何かを感じ取ったのか、窓枠に座るその影の持ち主に向かって毛を逆立てている。



『(ビックリした…でもそういえば、ここって座敷童子がいたんだっけ…)』



ちょこんとニコのことを見ながら座るおかっぱ頭の女の子。

私が子供の時から変わらない髪飾りの赤いリボンは相変わらずこの子によく似合っている。


この子がそうだと気づいたのは、おばさんの子供か何かと勘違いしてこの子のことを聞いた時だ。




 ーーーねぇおばちゃん、あの子おばちゃんの子どもなの?



 ーーーん? おばちゃんに子どもはおらんよ?



 ーーーえ、…









それが確か、この店に通い始めた頃の話。


変な目でおばちゃんに見られなかったから良いんたけどね。



座敷童子は私を驚かせたことに満足したのか、クスッと笑って廊下の方に消えて行った。

ガッツリと江戸川さんの横を通り過ぎて。



『(本当に私にしか見えてないんだ…)』



こういう時に、改めて感じる。







「ふーん、」


『、何ですか?』



今までニコと戯れていた江戸川さんがこっちをじっと見つめていた。



「君はなかなか面白いものを持っているみたいだね」


『え、』


「しかも幸運なことに、その力のせいで不運に見舞われたことは無いようだ。


 まるで見えない誰かが君を守っているようだね」


『ッ、』



ドキン、と心臓の音が煩く跳ねる。


スッと開かれた江戸川さんの細い猫目に映ったのは、情けなく口を開けた自分の顔だった。


.

25*勘→←23*江戸川乱歩



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ゴーゴリンゴ - 続き気になりすぎて夜しか寝れません!!!更新待ってます! (2022年8月14日 14時) (レス) @page38 id: 5a52c0f3ec (このIDを非表示/違反報告)
ノイズ - モブの設定どこ行きましたwww面白いです。更新頑張ってください (2019年10月22日 13時) (レス) id: 4f45d6607d (このIDを非表示/違反報告)
すーがく - 面白いです!!更新、楽しみにしてます!ゆっくりでいいですから!澪菜さんの作品読めるだけで幸せなので! (2018年1月10日 12時) (レス) id: 9fb1372198 (このIDを非表示/違反報告)
澪菜(プロフ) - かさかさスライムさん» 返信遅れてすいません!もう本当にありがとうございます!自分のペースでなんとかやってみます! (2017年7月31日 7時) (レス) id: 9b7e5b62dc (このIDを非表示/違反報告)
澪菜(プロフ) - 八雲さん» 返信が遅くなってしまいごめんなさい!ありがとうです、全然更新できなくてへこんでましたが元気出ました! (2017年7月31日 7時) (レス) id: 9b7e5b62dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:澪菜 | 作成日時:2017年1月4日 23時

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