22*店番 ページ23
「Aちゃん暫く店番頼まれてくれないかい?」
『はい?!
って、あ! おばさーーんー!!』
突拍子もなくおばさんから発せられた言葉に驚きつつ、あぁやっぱりとどこか納得している自分がいた。
ちなみに、つい口からはいと答えたけどこれは断じて了承の意味じゃない…
意味じゃないんだけど、私の返事を了承のはいだと受け取ったおばさんは回覧板片手に店を出て行ってしまった。
「あ、ついでに中にいるお客の相手もしといておくれ。
悪い人じゃないからさ!」
扉を閉める際にそんな言葉を残して。
おばさんに向かって伸ばしきれなかった手は、空しくもダラリと首と一緒に下がった。
『そんなぁ…いくらなんでも無理だって…』
店番だけならまだしも、顔も知らないお客さんの相手をするなんて…
チラッと暖簾の向こう側を見ながらため息を吐いた。
さぁどうしようか?
暫く小さなお店の中を行ったり来たりしていると、ドタバタと廊下から足音が響いた。
「ねぇちょっとまだなの!?
僕もうお腹ペコペコなんだけど!」
『キャッ! す、すみません!!』
「あれ、君誰?」
騒がしい足音と一緒に暖簾から顔を覗かせたのは、所々跳ねた黒い癖毛に猫みたいに細い目が特徴の人だった。
声からして多分この人がお客さん…だよね?
キョロキョロとお店を見渡すその人をジーッと見ていると、ねぇと声をかけられ肩が跳ねる。
「おばちゃんどこ行ったの?
さっき店に出て来た筈だけど」
『あ、えと…おばさんならさっき、回覧板届けに出かけました』
「えぇーー!! じゃあ僕のもんじゃはいつできるのさー!!」
ずーっと待ってるのにーー! とその人は頬を膨らませる。
その証拠にグーッと私じゃない腹の虫が二人しかいないお店の中で鳴った。
ハーッとため息を吐いたその人はガックリと項垂れる。
「居ないものは仕方ない…
こうなったら君が僕のもんじゃ焼きを作ってよね!」
『え、え? な、何でそうなるんです!?』
「だって君店番頼まれてるんでしょ?
だったら君が僕に作るのは当然じゃないか!」
そ、そんな横暴な!
「ていうわけで早く上がって作ってよね」
『え、あちょっと!』
グイッの手を引っ張られ強引に暖簾の向こうに引っ張られた。
なんとか靴を脱げた自分を誉めたい。
グイグイと引っ張られた先は、昔私も何回か使ったことのある見慣れた鉄板焼きのある和室だった。
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ゴーゴリンゴ - 続き気になりすぎて夜しか寝れません!!!更新待ってます! (2022年8月14日 14時) (レス) @page38 id: 5a52c0f3ec (このIDを非表示/違反報告)
ノイズ - モブの設定どこ行きましたwww面白いです。更新頑張ってください (2019年10月22日 13時) (レス) id: 4f45d6607d (このIDを非表示/違反報告)
すーがく - 面白いです!!更新、楽しみにしてます!ゆっくりでいいですから!澪菜さんの作品読めるだけで幸せなので! (2018年1月10日 12時) (レス) id: 9fb1372198 (このIDを非表示/違反報告)
澪菜(プロフ) - かさかさスライムさん» 返信遅れてすいません!もう本当にありがとうございます!自分のペースでなんとかやってみます! (2017年7月31日 7時) (レス) id: 9b7e5b62dc (このIDを非表示/違反報告)
澪菜(プロフ) - 八雲さん» 返信が遅くなってしまいごめんなさい!ありがとうです、全然更新できなくてへこんでましたが元気出ました! (2017年7月31日 7時) (レス) id: 9b7e5b62dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪菜 | 作成日時:2017年1月4日 23時