猫の金平糖 3−2 ページ39
はっと驚いた。
疑惑に近い困惑。
「…何を…なさってるんです…?」
本気で、当惑して居る。
「…何で…動かないの…何で…私は確かに錠を…!」
左拳を握り、上半身を乗り出すようにした状態で背筋を伸ばし乗り出す。
「何やってるの…早く…解放してよ!
こんな事したくないんだって言ったじゃない!
さっさと此奴を解放して逃げれば良いじゃんか!!
何でそうしないんだよ!!」
慟哭が捕虜室に響いた。
小さな息遣い。
…嗚呼、そう云う事だったのか。
私は彼女の魂胆の一切を了承した。
彼女は、初めの演じ切れて居ない状態から本気(?)の演技に入る事で、物語を持たせたのだ。
益荒男の思考を手に取ったのだ。
始め、彼は何か魂胆があると思った筈なのだ。
だが、動かない捕虜達を見て当惑し、気持ちを昂らせたゆっきーを見た。
其の瞬間、先刻までの演技には或る物語が宿る。
始め彼女が捕虜達を解放し出来ても居ない演技をしたのは、彼女が捕虜達を倒せると言う自信が
あったから。
然し、動かない捕虜達は予想外で。
だから…
其れ位は…益荒男は考えるだろう。
ゆっきーの[本質]を知らないから。
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作者名:月霞銀樹 | 作成日時:2017年8月23日 16時