第六十三話:ししょー。 ページ29
「お兄さん、僕は売り物じゃ無いですよ？」
「では言い方を変えようか？君を組合にスカウトしに来た」
雅は眉間に皺を寄せた。
「僕、探偵社員なんですが？」
「では此方より良い労働条件を用意しよう。何が良い？」
「ほくべい？は太宰さんが居ないからやーです」
雅は首をフルフルと横に振った。
「ではそのダザイも連れてこよう。他には？」
「まだ、カレーを食べてないので待ってください」
「カレー？カレー等、向こうでも食べられるぞ？」
「駄目なんです。初めてのカレーはししょーと食べるんです。いつか作ってくれるって、約束したんです」
「師匠？それは何処に居るんだ？」
「さぁ？四年前に、消えちゃいました」
雅はうっとりと目を伏せた。
その表情は、酷く年不相応だ。
「ずうっと、探してます。ですから、」
「みやちゃん」
突如、背後から口を塞がれた。
いつの間にか後ろに太宰が立っていた。
「…向こうのお部屋に行こうか。甘味があるよ」
「甘いの!?食べます！」
雅はそれを聞くなり部屋を飛び出していった。
それをニコニコと見送った後、うっすらと不気味な笑みを浮かべフィッツジェラルドを見遣る。
「あの娘は貴方には差し上げませんよ。何に変えても、ね」
お邪魔しました。
太宰は笑みをたたえたまま、雅が入った部屋に消えた。
「…随分と、恐ろしいものを飼っているな」
「飼っては居ない」
「あれらを金で操るのは無理そうだな」
フィッツジェラルドの脳裏に、雅の姿が思い出される。
少年と見紛う様な、透明な中性的な美しさ。
それを庇護する、恐ろしい男。
「成る程。何時の時代も姫を拐うのも守るのも、悪魔の仕事だな」
ｰｰｰｰｰｰ
太宰は、満腹となり満足し、己の膝の上で無防備に眠る少女を眺めた。
その白くて丸い頬をつつくと、擽ったそうに愚図る。
「まだ、忘れてなかったのかい」
瞼の裏に、己等の友人の姿が浮かぶ。
確かに、この子は迚彼になついていた。
だから、
「否、忘れてしまったんだね」
彼が、この子の腕の中でその生を終えたことを。
余り本心を表に出さないこの子が、自分の声が聞こえないほど泣きすがった事を。
…自分が、この子を捨てて逃げた事を。
「探しても、会えないよ」
君の師匠は、遠くへ。
憂鬱な気分が嫌で、自分も意識を飛ばそうと目を伏せた。
そして、夢を見た。
嘗ての夢。
彼女の右手は自分が。
左手は彼が繋いでいた。
彼女はニコニコと嬉しそうに笑って、街を歩いた。
前方を歩く眼鏡の友人が、半分呆れながら幸せそうに微笑んでいた。
もう、あり得ない夢。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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ラッキーアイテム
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アイカ(プロフ) - アンケート、2で1です！更新楽しみにしてます！ (2018年5月27日 11時) (
レス) id: c5df0e4c03 (このIDを非表示/違反報告)
猫音@底辺(プロフ) - アンケート両方2ですかね。更新ファイトです！あ、もし落ちありになったら太宰さんがいいです。注文多くてすいません。これからも応援してます！ (2018年4月8日 16時) (レス) id: 4738577f15 (このIDを非表示/違反報告)
冷 - Q1:1 Q2:1…ですかね…。 (2018年4月4日 11時) (レス) id: 350a847f52 (このIDを非表示/違反報告)
咲希(プロフ) - アンケートは両方�△任�願いします！ (2018年4月2日 19時) (レス) id: cdd9e80849 (このIDを非表示/違反報告)
デュラララ！！(プロフ) - アンケートの答えQ1が�，�Q2が�△播衂爾靴泙� (2018年4月2日 2時) (レス) id: 2688be90e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亂 | 作成日時：2017年2月19日 21時
