第五十一話:嫌いじゃない ページ3
苦しそうに呻く雅を見て、中也は手を離した。
ベッドに落ちた雅は急に流れ込んできた空気にゴホゴホと咳き込む。
そんな雅を、中也は光の無い空虚な瞳で見詰めていたが、雅の足を見てニヤリと唇を歪めた。
「傷が、ついちまったなぁ…？」
落ちた拍子にだろう、雅の足首はガラスの破片によって深く切れていた。
傷口から、真っ赤な血が溢れている。
中也は膝間付くと、懐からハンカチを取りだしやや強すぎる力で傷口を抑えた。
「いッ…!!」
「後で、首領に治療してもらえ。止血はしてやる」
きつく縛られ、鋭い痛みが走った。
視線をあげると、雅は脂汗をかきながら痛そうに呻いていた。
「…おら、まだメシ残ってんだろ。しっかり食え」
中也は落ちていたスプーンを拾い上げると、室内にある水道で綺麗に洗い、シチューを掬い上げて雅に差し出した。
抵抗すると危害を加えられると思ったのか、雅は大人しく口を開いた。
そのままもぐもぐと咀嚼する。
「…」
雅は何も言わず、視線を下に下げながら飯を食べていた。
静かに完食した雅を見て、中也は満足気に笑うと苺のミニタルトを差し出した。
「ほれ、リクエストしてたヤツ」
「…ありがとう、ございます」
雅は恐る恐る手を伸ばしてタルトを受け取ると、小さなデザート用のスプーンでちびちび食べ始めた。
一口食べた瞬間、美味しかったのか、強張っていた表情がふにゃりと和らいだ。
「俺が怖いか？」
「…いいえ。怖くないです。只、最近はこんなことも少なくなっていたので、そういえばマフィアはこんな組織だったな、と再認識しただけです」
「ついこの前までお前も居た組織だ」
中也の問い掛けに、雅は淡々と答えた。
怖くないというのは嘘ではない。
昔から、訓練の際に失敗すると仕置きとしてよく会ったことだ。
首を絞められ、持ち上げられたら如何に反撃するか。
拘束から脱するか。
それを散々叩き込まれた筈なのに、探偵社での日常は平和で、すっかり忘れていた。
只、それだけだ。
雅は昔から中也の事は大好きである。
実の兄の様に慕い、時にまるで雛鳥の様に中也の後ろをついて回った。
その情を、これしきの事で失ったりするものか。
タルトも食べ終わり、御馳走様でした、美味しかったですとお辞儀した雅に、中也は笑顔で頷くと食器の乗ったトレーを持ち、上機嫌に去っていった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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アイカ(プロフ) - アンケート、2で1です！更新楽しみにしてます！ (2018年5月27日 11時) (
レス) id: c5df0e4c03 (このIDを非表示/違反報告)
猫音@底辺(プロフ) - アンケート両方2ですかね。更新ファイトです！あ、もし落ちありになったら太宰さんがいいです。注文多くてすいません。これからも応援してます！ (2018年4月8日 16時) (レス) id: 4738577f15 (このIDを非表示/違反報告)
冷 - Q1:1 Q2:1…ですかね…。 (2018年4月4日 11時) (レス) id: 350a847f52 (このIDを非表示/違反報告)
咲希(プロフ) - アンケートは両方�△任�願いします！ (2018年4月2日 19時) (レス) id: cdd9e80849 (このIDを非表示/違反報告)
デュラララ！！(プロフ) - アンケートの答えQ1が�，�Q2が�△播衂爾靴泙� (2018年4月2日 2時) (レス) id: 2688be90e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亂 | 作成日時：2017年2月19日 21時
