さて。/P6/糸 ページ9
………何とか。
依頼を受ける所まで行き着いた。
現在、歩きながら事件現場に向かっており、俺の端末にはアリアさんからのクエストが登録されている。
内容は、
『No.1/殺人犯を見つけろ！』
となっている。
クエストはスタッフからの指令……みたいな感じで出されるが、一般人同士でも設ける事が可能。わりと味方内でもゲーム感覚でされる事があるそうだ。
クエストを達成することでLv.や職業のランクが上がったり、報奨が貰えたりする。
今回は職業ランクアップを報奨とすることでクエストを設けた。
……一応クエストにするには、無線かなんかでいいからスタッフの確認が必要になる。その審査にも通ったらしい。
そうする間に現場に到着。
「意外と……近いですね」
「そうですね。だから噂を知っていたのかも」
なんの気なしに呟いた俺の言葉も、しっかり聞こえていたらしい。
一人言に反応されるというのはなんと言うか………むず痒い？といった感覚がする。
まあ、ともかく現場だ。
ざっくり見た感じでいうと俺たちが住んでいる所よりちょっと狭いようだが大差ない。
外観は、この世界観……つまりはゲームの中によくある民家で、お隣は結構近い。
目立つことは特段なく周囲に溶け混んでいる。
但し、入り口には警察二人。
ここから俺たちの、『誰が警察に話を持ちかけるか』というそれほど大した事もないが仁義なき不毛な戦いが開戦した。
「……どうすれば？入れんの？」
「突っ込めばいいじゃーん」
「え、サヤカ行ってくれる？」
「何言ってんの？ヤだよ」
「いや、さっき突っ込めばって…」
「私じゃないよ？アンタがだよ？」
「そりゃそうに決まってるだろ」
「リクトもそっち側につくか……」
「だって目ーつけられたら面倒だし？」
「俺らのクエストじゃねーし？」
「………わりと普通について来たよね？」
「それは同居人だからー！」
「なら手伝ってくれてもよくない……？」
「それとこれとは別だ」
「ついて来た意味！？」
「あのー……」
その戦いに終止符を討ったのは。
…………まーここでアリアさん以外が出たとすれば、かなり衝撃的でサヤカ辺りが暴動を起こしかねないが。
ちゃんとアリアさんだった。
「恐らくではありますが……探偵の職である方がいますし、私も関係者なので多分通して頂けますよ？」
この後、警察に端末を見せて探偵であることを証明すると、アリアさんと俺はすんなり通してくれた。
……………は？
何だったさっきの時間。
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作者名：文芸部 x他4人 | 作成日時：2018年3月18日 0時
