さて。/P5/糸 ページ9
……。
「あのー。それでご依頼というのは……」
何だかんだで。
この場所にいる四人……俺、リクト、サヤカ、そしてこの駆け出し探偵に依頼を持ってきてくれた女性……アリアさんが全員テーブルについた。
「はい……実は」
そこで一旦言葉を区切り、息を深く吸って。
「姉が殺されてたんです」
「…………………」
俺も深く息を吸い。
「早く言えや！？」
叫んだ。近所迷惑だったことだろう。
「先、警察行けよ！」
一応この世界にも警察があり、全員スタッフで構成されている。問題が起こったりすると大体そこに持ち込まれる。
今回はただの“問題”とは言えないが。
「もう通報していますよ！そのうえで探偵さんにも頼みたいんですっ！お願いします！大事な人だったんです！犯人を、見つけて……下さい………」
……こんな世界なので、他人も家族に出来る。
だから本当に血の繋がった姉妹だったのかは不明だが。
後半は涙をながして嗚咽混じりの声だった。
「本当にっ、いい人で……。もう何でよ…………絶対…見つけたいんですっ」
それだけ呟く様に吐いてその場で泣き崩れてしまった。
不謹慎ではあるかもしれないが、アリアさんのお姉さんが生前、どんな人だったのかとても興味が湧いた。
「……ね、ちょっと来てよ」
サヤカが俺の服をちょんちょんとつまむ。
「え？」
「いいから」
……何かデジャヴだな。
サヤカに流されるままもう一個奥の部屋、主に俺とリクトの寝室に入った。
「あの娘、スタッフみたいだね」
「いや、まだ分かんねーだろ」
「んー？でもさ、あの演技おかしくない？あるいは“可笑しい”って言ってもいいけど」
「姉、なんて大事な人が死んだら、悲しむのが普通じゃない……か？」
それを“演技だ”と断定……？
「大事なら尚更じゃないかな？話聞いてると、あんたさ、リクトとベラベラ喋ってたみたいじゃん」
「……あっ」
「突然泣き崩れた、ってだけならまだ分かるけど………そんな大事が起きてて、仮にも“探偵”と名乗ってる奴が依頼人を放置してふざけてたら」
「…怒るな。絶対」
「でしょ？てかさ」
サヤカは心底不思議そうに。
「このゲーム内で殺人なんてあるの？」
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作者名：文芸部 x他6人 | 作成日時：2018年3月1日 20時
