夢の住人/ページ5/OK牧場の春 ページ6
覚えていた。
覚えていて、くれていた。
今まで、夢の中で私のことを認識してくれる人さえ、ほとんどいなかったのに。
私のことを見てくれて、友達になってくれて、覚えていてくれて。
そしてこうしてまた、会うことができた。
それって奇跡だ。
夢みたいだ。
「あなたのこと、大好き」
私は思わず、彼女のことを抱きしめた。
「ふふっ、突然どうしたの、本当に変なの。でも、私もレムのこと大好き」
「嬉しいっ!!」
二人の楽しげな笑い声が、耳をくすぐる。
「ねえ、レムに、プレゼントあげる」
そっと私から離れた彼女は、自分の首の後ろ側に手を回すと、ペンダントを外して私の手に握らせた。
「いいの?」
「うん。レムはさびしがりやさんだから。もう泣かないように、お守り」
「ありがとう」
心からの笑顔を向けてお礼を言うと、彼女は儚げに微笑んで目を伏せた。
「ねえ、これ、ずっとつけていてほしいの」
「もちろん」
「約束よ。
いつでも……たとえ1000年後になっても、私が、レムを見つけられるように。
私絶対、ここに戻ってくるから」
なぜか彼女の表情が、どんどん寂しそうになって、私は何か声をかけようと口を開いた。
瞬間、彼女が目の前から消えた。
いつものように、灰色の霧に侵食されるのではなく、瞬きの間に、泡が弾けるように、一瞬にして消えてしまった。
私の手の中の、白いペンダントを残して。
ーおわりー
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作者名:文芸部 x他6人 | 作成日時:2018年3月1日 20時