夢の住人/ページ4/OK牧場の春 ページ5
泣いて、泣いて、泣き続けて。
いくつもの世界が、私の傍を通り過ぎて。
泣き疲れて、ふと顔を上げると、灰色の霧の中で、彼女が私の顔を覗き込んでいた。
驚きと、再び会えた嬉しさで、思わず声をかけそうになった。
でも、ただ黙って私を見つめる瞳に、現実を突きつけられるのが怖くなって、私は結局黙って目を逸らした。
「ひどい顔。何か悲しいことがあったの?」
彼女の声は昨日と変わらず可憐で、美しくて、でも、ほのかに哀しみの色を帯びていた。
「寂しいんだ」
「へえ、あなた、さみしがりやさんなのね。
でも、もう私がいるからさみしくないわよ」
私の横に腰を下ろして、彼女はゆっくりと体重を預けてくる。
熱すぎるその体温を、私はそっと引き離した。
「違うよ。あなたがいるから寂しいんだ」
思い切ってそう言ってみても、彼女は不思議そうに目を丸くするばかりだった。
やっぱり、そうなんだ。
じわじわと視界が滲んでいく。
「変なの。私とレムって、考え方が違うのね」
「え」
今……レムって。
「どうしたの?驚いたみたいな顔して。
普通、友達といる時はさみしくないでしょう?」
「そうじゃないよ。レム……、レムって、私のこと?」
「そうよ。自分の名前も忘れたの?」
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作者名:文芸部 x他6人 | 作成日時:2018年3月1日 20時