占ツク学園文芸誌【2】

百花繚乱、ちるぬるを。/ページ2/Patricia ページ2

神社に真っ向面から入っていく。
流石に失礼だと思ったけど、
他に出入り口が無かったんだ、仕方ない。

廃れた賽銭箱の奥には、
当然の様に大仏が無頓着で座っている。
手を腹の前で重ねて、
座りながら寝ている(？)姿勢を取っていた。
前の御膳には和菓子ひとつだけ。
ありゃ、信仰心とか大丈夫なのかこの神社。

「あーぁ、なんか滅入っちゃった」
神奈が大仏の膝に腰を降ろす。
近くに椅子は無かったし、神奈の家の近くでは
大仏をモチーフにしたベンチなんて合ったりする。
座ったって罰は下らないだろう。
神奈が肩の鞄を下ろそうとした。

が、

「おい、不届き者」
頭上から声が降ってきた。
あぁ気持ち悪い、と腰をあげる。
「誰ー？」
突然声を掛けられたんでは、
人は皆暫くはどぎまぎする。
もうちょっと断りを入れてくれればいいのに、
神奈が顔を少しだけ、
能面みたいにしかめさせた。

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