[ＲＫＲＮ］綾部と私の３６５日＊3

be with you *98 ページ49

私はその間、数馬を連れて脱出を試みようとするも、先輩が気がかりで動けない。
それは数馬も同様のようだった。


この判断一つで、私たちの命は今や風前のともしびだ。

けれど、私は頑として動かない。
否、動けなかった。

私は俯いた。





数馬「…あっ！」


そんな時、数馬が声をあげ、
その視線の先を辿ると。


尾浜先輩が横腹を横一線に斬られたらしく、
地面に苦しそうに膝をついている様が目に入った。

額からは尋常でないほどの汗の粒が流れ出ている。







私たちはその光景に思わず、声を上げてしまう。


「「せ、先輩！」」


数馬が駆け寄ろうとした時
その行く手を阻むように、忍が数馬の目の前に降り立った。





数馬「…っ、」




『名を名乗れ』



深緋の忍が発する、心臓まで凍りつきそうな声に圧倒される。


すっかり萎縮してしまった数馬をかばい立てるように、
私は数馬の前に駆けいった。




これ以上、傷つけないで――――――――









私は意を決して、
震える声を喉から絞り出すようにして叫んだ。



A「私は西坂Aと申す者！
　 貴様らが血眼になって探し回っている者とは、私の事だ！！」






すると後ろにいる数馬が、
え、と驚いたように小さく声を上げる。

A「私はおとなしく捕まる。ただし、約束してほしい。
　 皆には、もう手を出さないで」




殺されちゃいます、やめて下さい、と数馬が涙声でしきりに袖を引っ張るので、
私もまなじりに涙が浮かびそうになる。

私はここで振り返り、精一杯微笑んでみせた。




A「尾浜先輩を、頼んだ」





数馬は困惑した表情で私を見詰めている。

一方目の前の忍は目を細めると、口から、ヒュ、と不思議な音を出した。
忍者同士が連絡をとりあう音の暗号、“矢羽音”だ。




あっという間に、集まってきた深緋の暗い色が私を包囲する。


数馬はそれを見ると顔を伏せ、
力尽きて倒れている尾浜先輩のもとに駆け寄っていった。





私の口から、尾浜先輩、と声が喉元までこみあげるも、唇を再び噛みしめて俯いた。

この先、数馬に不運な目に遭わないことを祈るだけだ。

でも数馬なら、やってくれる。







すると。


A「っ、ゲホっ…」




私のみぞおちに、何かがめりこむようにして入った。

忍の一人の、拳だ。

手加減なしの鉄拳の威力に、
カッと焼けるような感覚が胃の中に広がるのを感じた。


それから私は一瞬にして、気を失ってしまった。

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≪今日のラッキーアクション≫

自分の自慢話を誰かに語りまくれ！！３時間語れれば合格。

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