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be with you *86 ページ37

こうして私がどうする当てもなく、ただ立ち尽くしていると、
急に思い出したように、眠気が襲ってきた。

その心地よさに身を任せ、やわらかな地面とも呼べない場所に倒れこむ。









すると、夢の中のようなこの世界で、
誰かの声が小さく聞こえた。


A「…?」




まどろむ意識の中、私はその声に耳を傾けた。




誰だっけ…

どこか間延びしたこの声。







以前、どこかで―――――――――









(…思い出せない…な…)


再び眠りに落ちそうになると、今度は、体が軽くなった。

誰かに抱きかかえられているような、不思議なぬくもりが私を包む。
そしてまた聞こえる、声。







―――――A――…



A―――…








…私の、名前?


誰かに、呼ばれている。




私はそれに応じようと、全身の力を振り絞って体を動かそうとした。

けれど、やっと動いたのは誰かに握られたままの右手だけ。





とうとう、精も根も尽き果てた、と感じたその時。









何かを引き抜くような鈍い音とともに、

しばし忘れていた“あの痛み”が牙をむいて襲いかかってきた。






A「いッッ…あっ…!!!!!」





私は、我に返った。



背中に埋め込まれていた何かがとれたようだけど、
痛みが渦潮になって体中を何百回もぐるぐると回っている。



目をそっと開けば、相変わらず暗い世界が広がるばかりだ。



状況が、よく呑み込めない。



混乱していた私は、無我夢中で暗闇を手探りした。
何かつかんだ、と同時に、まるで硬貨を二つに折り曲げられるような力でそれを握りしめる。


――――――怖い。









すると、暗闇から、「痛」、と小さくうめく声がする。
その直後、



『A、少しだけ、もう少しだけ、頑張って』






混濁する意識の中、その声だけが、鮮明に頭に響いた。


何となくだけれど、
誰のものか分かるような気がして。

何だか泣き出したくなる。




手のひらの力が抜け、私の腕がはらりと垂れ下がる。


頬から伝わってくるそのあたたかい体温にすっかり安心しきってしまい、
私は眠りにつくように、目を閉じた。

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≪今日のラッキーアクション≫

自分の自慢話を誰かに語りまくれ!!3時間語れれば合格。


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サラスティー(プロフ) - ももりんさん» ももりんさん、ありがとうございます…!戦闘シーンは私自身頑張ったところだったので(笑)とても嬉しいです!応援していただき感謝です…!! (2015年3月27日 16時) (レス) id: 74dfc3bef1 (このIDを非表示/違反報告)
サラスティー(プロフ) - 生まれたてさん» そう言って頂けて嬉しいです、うーチャン!私も大好きなんです、勘右衛門が← (2015年3月27日 16時) (レス) id: 74dfc3bef1 (このIDを非表示/違反報告)
サラスティー(プロフ) - 笹豆腐愛し隊隊長十六夜サザンさん» 殺気、分かります(笑)勘チャン…!嬉しいです!頑張ります! (2015年3月27日 16時) (レス) id: 74dfc3bef1 (このIDを非表示/違反報告)
ももりん - バトルがおもしろかったです!続編楽しみにしてます!! (2015年3月27日 16時) (レス) id: 45e6ebfad2 (このIDを非表示/違反報告)
生まれたて - 勘ちゃんの戦闘シーンがかっこよすぎです!情景が浮かんできました!勘ちゃん愛してます♪ (2015年3月27日 11時) (携帯から) (レス) id: 079e5a0b02 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラスティー | 作成日時:2015年1月12日 13時

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