カルテ07 ページ8
｢えっと…シロ君？｣
困惑する谷崎を他所に、シロはすんすんと谷崎の匂いを嗅ぐ。
｢じゅん、あっくんと匂い違う。どうして？｣
｢どうして、と言われても…｣
｢ボクの世界の人間は、皆同じ臭いしたの。何で？｣
｢うーん……ボクには分からないなぁ。｣
｢そっか…｣
シロがしゅんと項垂れる。
それと同時に何故か頭のくせっ毛も萎れる。
｢シロ君に聞きたい事があるんだ、良いかな？｣
｢うん。ボク教えるよ。｣
｢有難う。…先ず、君は何者なの？｣
｢なに、もの………？｣
｢シロはあの研究所で何をしていたの？｣
コテンと首を傾げるシロの頭を撫でながら、敦が言葉を噛み砕いて云う。
｢何時も、お水の中に入れられてたの。
口にマスクしてたから息はできてたけど…
両腕と、両脚と、首に管が繋がれてて、
其処からお薬が流れてた。｣
｢薬………｣
｢そのお薬の名前とか、分かる？｣
谷崎の質問に、シロは無邪気な笑顔を浮かべる。
｢知ってるよ！
“サキシトキシン”って云うの!!｣
｢サキシトキシン………？｣
薬の名前に詳しくない敦と谷崎の頭に｢？｣が浮かぶ。
｢研究者達が云ってたのは、そのお薬は少しずつ摂取したら強くなれるんだって。でも、サキシトキシンは珍しいお薬だから、1週間に1回しか打たれなかった。｣
｢その薬を使って、体に悪い事とか無かった？｣
｢んー…ちょっとピリピリした。
カタカタ震えて、暫くは動けなかった。
多く摂取した子が固まって動かなくて、研究者達に連れて行かれたのは見たよ。｣
敦がその言葉に考える様に腕組みをし、谷崎は質問を続ける。
｢ご飯は何を食べてた？｣
｢お水！｣
｢水………？｣
｢研究者が言ってたよ。人間はお水がご飯なんでしょ？だから皆お水飲んでた！｣
｢そうなんだ…｣
谷崎は深刻な顔をした。
研究者達が嘘をついてその食生活を強いた所為で、不健康に痩せ細ってしまったのではないか。
しかも外の世界を知らなかったと云う事は陽の光も浴びていないのでは。
｢シロ君、今、何歳？｣
｢え？んーっと……………15！15歳！｣
｢15歳!?｣
身長的にも推定12歳程度と考えられる。
なのに実際はその3年歳を取っていた。
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No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません！ (2019年1月27日 17時) (
レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです！続編希望です！！ (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます！続編希望です！ (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます！続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十一葉(といちば)さん | 作成日時：2016年8月9日 17時
