カルテ44 ページ47
その日から、敦と太宰はシロの異能操作の相手をするようになった。
条件として夜にしか発動出来ないので、昼は探偵社での仕事をこなし夜に練習をする。
2人はシロが何度挫けても傍に居て、ひたすらシロと向き合った。
時には探偵社の仲間も様子を見に来てくれ、シロの相手を手伝った。
・
「っ…………グルァァァァァッッッ!!!!!」
「シロッ!!」
正気を保っているうちは水色に輝く瞳も、暴走すれば赤色に変わる。
シロは胴体の真ん中を引き裂かれれば異能が解除されるのを知ってからは、太宰の人間失格のみならず敦も虎となり止める事も出来た。
「うぅぅ…………えぇぇぇぇん……」
「シロ、大丈夫?」
「ぐすっ………うぅ…」
「シロ君は泣き虫だね〜可愛い………」
「ひっ!?」
気が弱いシロは暴走する度に泣く。
敦は優しく慰めたが太宰は息を荒らげながら近づいていた。
・
・
「出来た………出来たぁっ!」
「やったね、シロッ!!」
数カ月が経ちシロは遂に完全に操作出来るようになり、更に夜になれば真っ暗にならずとも異能を発動させる事が出来るようになった。
探偵社の皆はシロを労い、実戦に向けての本格的な練習にも尽力した。
軈てコントロールすらままならぬ頃より大幅に戦力が上がり、時折対峙するポートマフィアとも互角に戦えるようになった。
・
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─────────────────1年後。
1人の少年が建物の屋上から街を見下ろす。
夜が近づく度に街を見下ろす事が少年の楽しみであり日課だ。
涼し気に吹く風は彼の髪を揺らす。
1年前に両サイドに伸びていた長い髪は、彼の大好きな人間とは逆の左側だけを伸ばしていた。
「ヨコハマは今も変わらねぇな…」
たった1年、されど1年。
その中で目まぐるしく変わったのは彼自身だった。
性格、態度、見た目、強さ。
変革は留まることを知らなかった。
・
「おーい、仕事行くよ!」
ゆっくり振り向くとパートナーであり恋人であり大好きな彼が手を振っている。
「今行くよ────────────あっくん。」
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No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです!続編希望です!! (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます!続編希望です! (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます!続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十一葉(といちば)さん | 作成日時:2016年8月9日 17時