【文スト】献体No.1154793【男主】

カルテ43 ページ46

｢ん………｣



シロが目を覚ますと、窓は仄かに明るくなっていた。
何時ものように、隣には布団で寝る敦。






･









･





｢………あっくんが、ボクを助けてくれた虎…｣




意識は曖昧ではあったが、確かに敦は月光に照らされ猛々しい虎になっていた。

今思えば、新しい世界に来てからも色々と助けてくれたのは敦で、納得もどこか出来る気がする。






然し力の操作が不完全であるシロにとって、その優しい敦を傷付けてしまわないかが不安だった。


前回研究所での事は、太宰が異能を発動させ大事には至らなかったものの、シロに眠る狼は時として異常な迄の素早さを見せる。



残像が残る程の素早い動きを。






万が一、2人の身に何かがあれば。









･








『あ………あぁぁぁぁ………』




目の前に広がる肉塊。

辺りに立ち込める血腥さ。

口元を拭えばベットリとした感触。







殺戮を望まぬ者がよく知る殺戮の残骸。






不意にシロは両手に目を移す。



｢っ!!｣



シロの白い手が赤く染まる。
幻だと知っていても、頭の中では過去に犯した殺戮の全てがフラッシュバックしていく。




赤、赤、赤、赤、赤──────





｢…………あっくん…｣






早くボクを、この苦しみから解放して。

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