カルテ42 ページ45
「…じゃあ、シロはどうしたいの?」
「えぐっ…ぼ、ボクはっ…」
「ずっと泣いてたら、分からないよ?
シロがその能力でどうしたいのかちゃんと言って御覧?」
敦がシロの顔を包んで目を向かせる。シロの涙はとめどなく流れる。
ボクがやりたい事………………
・
・
「ボクは…………ちゃんと、操作出来る様に成りたい…誰も傷つけたくない、から…」
「それが、シロの望み。
じゃあ、俺が教えてあげる。操作の仕方。」
「俺もシロと同じ、異形の異能力者。
だからシロの苦しみは俺もよく分かるから…」
シロからゆっくり離れた敦が光に包まれる。
体は徐々に人の形から離れ、膨張していくにつれ服が破れる。
シロは姿を変えていく敦に怯えながらもちゃんと敦を見つめる。
敦から光が消え、窓から差し込む月光がうつしだしたのは白銀の毛並みを持つ大きな虎。
「…あっ、くん………?」
『之が、俺の異能──────月下獣。』
虎を見た敦は目を見開く。
「ボクを新しい世界に連れ出してくれたのは…
あっくん、だったんだね………」
正体が分かった嬉しさと泣き疲れでシロは気を失った。
・
+敦side+
「すぅ……………すぅ…………」
ベットに横たわるシロを見て、俺は異能を解除した。
明日から俺と…太宰さんにも協力して貰って、シロの練習しなきゃ。
シロの顔を拭こうとタオルを水に濡らして搾り、顔を拭く。
「っ、ん…………ふ………」
「っ!」
シロから甘い声が聞こえ思わず後ずさる。
もう一度タオルで拭くとシロは声を上げることは無かった。
顔を綺麗にするといい夢を見ているのかふにゃりと笑顔を作ってる。
「可愛いな………」
「ん………あっくぅん………」
(え!?俺!?)
寝ているシロの言葉から俺の名前が出てきて顔が赤くなって来た。
・
・
「あっ、くぅん……好き…好き、なの……」
「〜っ、シロの莫迦っ………」
可愛い事ばかり云うシロに遂に耐えられなくなった俺はシロの唇に自分の唇を重ねた。
唇を離すと、この事を知らない筈なのにシロは嬉しそうに笑ってた。
306人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです!続編希望です!! (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます!続編希望です! (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます!続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:十一葉(といちば)さん | 作成日時:2016年8月9日 17時