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カルテ41 ページ44

「ん…此処、は…」
「気が付いた?シロ。」
「あっくん…」



シロが目を覚ますと、見慣れた天井が広がる。
隣には顔を覗き込む敦。




「シロ、昨日の事覚えてる?」
「昨日…」
「俺と一緒に街に遊びに行った後、研究所に行った時の…」
「…覚えてない…あの後ボク、どうなったの?」
「シロ………」





シロの言葉に敦は悲しげな顔をする。
その顔を見たシロはズキリと心が痛くなった。







「…本当に覚えてない?」
「………云ったら、痛い事、しない…?」
「当たり前だよ…!!」






敦の言葉にシロは目を逸らした。
今更、研究者のように裏切られないか不安に駆られてしまった。













「………本当は、全部覚えてるの…」
「…!全部教えてくれる?」
「うん…」





「…ボクは、悪い事する人間が大嫌いだった。
だから盗んだ男も嘘を付いた女もボクが殺した。…許せなかったから…。」
(犯人がシロなのは、乱歩さんの云う通りだった…)


シロの話を聞いて、敦は改めて乱歩の力に感心した。







「でもボクは異能をちゃんと操作出来てなかった。だから思ってるだけで行動に移すなんて出来なかったの…だけど狼になった時、意識はあったけど操作出来なくて…」






ポロポロと涙を零し、シロは語る。
意識があるのに操作出来ず殺しを前にするのは残酷すぎる。



「いっ、意識があるのにっ…止まらないッ、んだ…許したくなくても、殺したいなんて思わない、のにッ…」





「もうボクは…誰も…殺したくないよぉッ…」



涙でぐちゃぐちゃになるシロは、敦の腕を掴んで震えていた。

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No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです!続編希望です!! (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます!続編希望です! (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます!続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十一葉(といちば)さん | 作成日時:2016年8月9日 17時

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