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カルテ40 ページ43

国木田にそう告げた太宰は、徐々に闇に慣れてきた目を駆使し走り出す。
後ろを振り向けば赤い2つの光も劣らぬ速さで太宰を追いかける。









「脚も早いんだね、流石だよ。
その逃げ足を使って遺族を名乗った女性も殺して逃げたんだろう!?」
「グルルル……」
「自分にとって悪であると肯定した事を行った人間達をその爪で八つ裂きにして、その牙で噛み殺したんだろう!?」
「グルァァァ!!!」









太宰の挑発に「黙れ」と云う様に吠える狼。

遂に研究所の最奥に着いた。太宰の直ぐ真後ろには壁。
赤い光はジリジリと距離を詰める。








「ふむ…見た所意識があるかは本人に聞かないといけないけど、少なくともコントロールは出来てない様だ。行動の制限が出来ていないからね。」



結果を纏めるように告げる太宰と尚も距離を詰める赤い光。






「楽しい鬼ごっこも終わりの時間だ。残念だけど…君の負けさ。」
「ガルルルル!!!」
「どの童話にもあるように、狼は退治されなくてはいけない。其れが世界の秩序だから。」






飛びかかる狼に向かって太宰は自身の異能…「人間失格」を発動した。



狼は太宰の異能に触れ、銀色のオーラに包まれる。
軈て闇の中から「ドサッ」という音がした。






「全く…ひと手間もふた手間も掛けさせる悪い狼だね。」


太宰は携帯電話のライトで音のした方を照らす。
其処には横向きに倒れるシロ。





「如何して君の異能は狼になったのかは分からないけど…ちゃんと練習しなきゃだねェ。」

「噛み殺されるのは厭だけど。」と1人付け加えた太宰はシロをおぶり、ライトを頼りに来た道を引き返した。






















「!太宰さん!!と…シロ?」
「何があったんだ太宰。説明しろ!」
「何って、新しい異能力者の実力試しだよ。
敦君と同じタイプかな。慣れればコントロール出来るかもしれないね。飽く迄個人の能力次第だけど。」
「そうですか…シロ、無事で良かった。」




敦は太宰の背中で眠るシロの頬を優しく撫でる。






「気絶と云うより、疲れて眠ってるだけだよ。外傷も無いから大丈夫。」
「本当ですか。」
「勿論だよ。何より人間失格を使えば怪我させる事なく異能を沈められるからねぇ。ところで国木田君!」
「…なんだ。厭な予感しかせんのだが。」
「パパなんだから子供背負わないと駄目だよ?」
「はァ!?」




結局太宰に強引にシロを押し付けられた国木田は黙っておぶった。

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No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです!続編希望です!! (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます!続編希望です! (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます!続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十一葉(といちば)さん | 作成日時:2016年8月9日 17時

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