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カルテ04 ページ5

「ご飯、食べた事無いの…?」


少年の一言で敦が責めるように聞いた。
顔が少し強ばってて怖く、少年は恐怖を覚えた。


「本当は、朝と夜はカプセルがあるの。でもお水だけの時が多いかなァ?」

「1週間でカプセル2割、お水5割、お薬3割かな、」
と云うと、



ギュッ



「……?」


突然抱き締められた。
こういうのはハグと云うって、研究者が見てたビデオでやってたなァ。
でもそれって男と女がやる物じゃないのかな?



「あっくん、ハグは、男と女がやるんだよ。」

少年が敦にそう教えてあげても止めてくれない。
あっくん、女なのかな?


「ねぇ、あっくん…………………」
「辛かったよね、苦しかったよね…」
「ん……辛くは無かったけど、一寸痛かった。」


少年の言葉に敦はゆっくり体を離す。


「何かされたの?」
「毎日、沢山注射された。」


ほら、と云って服の袖を捲る。
其処には白い腕を赤に染める位の沢山の注射痕。


「…助けるの遅くなってごめんね。」
「大丈夫。」
「そういえば名前、どうしようか…」
「名前はナンバー………」



云おうとしたら指が口に押し当てられた。



「新しい名前、付けてあげる。」
「名前…………」




名前は少年の世界の中では意味を持たなかった。

「せいご」とか「さな」みたいな名前を持っている人も、「献体No.○○」って変えられるから。
その内自分の名前が必要無くなって、ナンバーに順応していった。



「君の名前は、“シロ”!!」
「しろ…………」


「シロ」。それがボクの新しい名前。

番号なんかじゃない、たった2文字なのに何処かあったかい。



……そう云えば、何でボクは人間のあっくんが怖くないんだろう…

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No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです!続編希望です!! (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます!続編希望です! (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます!続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十一葉(といちば)さん | 作成日時:2016年8月9日 17時

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