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カルテ32 ページ35

真夜中。





敦達を追い払った遺族を名乗る女性は1人、事件現場に赴いた。



事件の真相を有耶無耶にするべく、ばら蒔かれていた動物の物と思われる毛を回収し爪痕に砂をかぶせる。





「保険金は私の物さ…!!」




自分でも上出来と思う証拠隠滅にほくそ笑み、来た道を引き返そうとする。








辺りを照らしていた月明かりが雲によって遮られる。


街頭もない村で暗闇は付き物だった為、女は取り乱す事無く帰路を辿る。






























グルルルルル……………


「!?な、何…!!?」



前方からの唸り声に歩くのを止める。


「あ……………あぁっ………!!!」




女は咄嗟に思い出していた。
被害者は獣の様なものに襲われたと。






闇に浮かぶ赤い2つの目。

罪人への裁きを望むような…憎悪の炎を纏ったかのような瞳。




恐怖で体が動かない女は、直訪れる自分の結末を頭の中で描く事しか出来なかった。




























治外法権の村に、新たな犠牲者。

被害者の側には前の盗人の時と同じ、爪痕と動物の毛。


息の根が止まった事を確認した獣は黙って自分の帰るべき場所に帰す。





光が亦自身を照らし始める前に。



自分の行いに目を瞑ってくれた様な月が顔を出す前に。


















扉の前に着くと、月光が獣を優しく照らす。

徐々に姿を取り戻した獣は黙って扉を開けた。



ベットにはすやすやと眠る大切な人。




「…………は………い、から…安心してね。」



獣は彼に向かって優しく微笑み、何事も無かった様にベットに入った。

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No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです!続編希望です!! (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます!続編希望です! (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます!続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十一葉(といちば)さん | 作成日時:2016年8月9日 17時

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