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コン コンッ
「ーーーっ!」
先ほどよりも僅かではあるが音が大きく響く。間違いなく内壁からの音だった。
咄嗟の出来事に声もあげられないまま、急いでテーブルに置いていたスマホを手にして、玄関へつながる扉まで逃げるように走る。
扉を背にしてもう一度部屋を見渡すが、何かが居る気配はない。
どうやって鳴っているのか理解は出来ないが、1つ分かったのは、このノック音が鳴ってる最中に、呑気に部屋で過ごしていたのだと気付くと、鳥肌が止まらなかった。
扉を背にしたままスマホを急いで開き、前方を忙しなく確認しながらシルクくんに電話をかける。
もしかしたら、何かの振動が響いているだけかもしれないと、微々たる可能性に縋りたかった。
しかしコール音から切り替わる事はないまま、留守番へと移行してしまう。
次第に、焦燥感や恐怖でまともにスマホ操作が出来なくなってくる、それが余計焦りに繋がり、負の連鎖が生まれ、涙が滲む。
キシキシッ ギシッ
「やっ・・・!」
天井が異常な音を立てて軋む。
一瞬の出来事ではあったが、まるで何かが這ってこちらに近付いてくるように、音はこちらへ向かって来た。
これ以上、姿の見えない何かに近付かれることのないように、リビングから廊下に飛び出して、扉を閉める。
もうどうしたらいいのかも分からず、リビングへ続く扉から視線も外せず、ただ得体の知れない何かに恐怖して、涙を流しながら廊下にへたり込む。
"何かあったら、ちゃんと連絡すること"
ふと、脳裏にいつかモトキくんに押し付けられた約束が過ぎった。
震える手を何とか動かして、モトキくんの電話番号を探す、"何かあったら"に今この状況が当てはまるのかは不明だが、もうそこにしか頼る場所は今の自分には無かった。
モ「もしもし?」
4コールも鳴りきらないうちに、モトキくんは電話に出てくれた。聞き慣れた声に堰を切ったように涙が溢れる。
「モト、キくん?」
モ「・・・Aちゃん?どうしたの?」
驚く程に声は震えて、上手く話せない私に、モトキくんも察したのか真剣な声が電話越しに届いた。
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ウツボです( ˘ω˘ )
お気に入り登録、評価、コメントいただきありがとうございます、毎度通知が来る度にウツボは喜んでいます( ;∀;)
今回は嬉しくて2話のせます、皆さま本当にありがとうございます。
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あーや(プロフ) - 続きずっと待ってます!! (2022年6月1日 10時) (レス) @page17 id: 8c3c030c7b (このIDを非表示/違反報告)
秋冬(プロフ) - とても面白い作品でした。続き、待ってます。 (2022年1月11日 14時) (レス) @page17 id: 1ebc893394 (このIDを非表示/違反報告)
あまやん - とてもステキなお話で何回も読んでしまいます。続き待ってます (2020年2月9日 17時) (レス) id: 8fa0ac1e27 (このIDを非表示/違反報告)
み - 続きずっとお待ちしてます… (2020年1月1日 2時) (レス) id: 5fbbc7c0ba (このIDを非表示/違反報告)
www - つづき!つづき! (2019年5月5日 14時) (レス) id: 8a931a155b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウツボ | 作成日時:2018年10月23日 22時