検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:44,879 hit

02 ページ10

コン コンッ

「ーーーっ!」

先ほどよりも僅かではあるが音が大きく響く。間違いなく内壁からの音だった。
咄嗟の出来事に声もあげられないまま、急いでテーブルに置いていたスマホを手にして、玄関へつながる扉まで逃げるように走る。

扉を背にしてもう一度部屋を見渡すが、何かが居る気配はない。

どうやって鳴っているのか理解は出来ないが、1つ分かったのは、このノック音が鳴ってる最中に、呑気に部屋で過ごしていたのだと気付くと、鳥肌が止まらなかった。

扉を背にしたままスマホを急いで開き、前方を忙しなく確認しながらシルクくんに電話をかける。
もしかしたら、何かの振動が響いているだけかもしれないと、微々たる可能性に縋りたかった。

しかしコール音から切り替わる事はないまま、留守番へと移行してしまう。

次第に、焦燥感や恐怖でまともにスマホ操作が出来なくなってくる、それが余計焦りに繋がり、負の連鎖が生まれ、涙が滲む。

キシキシッ ギシッ

「やっ・・・!」

天井が異常な音を立てて軋む。
一瞬の出来事ではあったが、まるで何かが這ってこちらに近付いてくるように、音はこちらへ向かって来た。

これ以上、姿の見えない何かに近付かれることのないように、リビングから廊下に飛び出して、扉を閉める。
もうどうしたらいいのかも分からず、リビングへ続く扉から視線も外せず、ただ得体の知れない何かに恐怖して、涙を流しながら廊下にへたり込む。

"何かあったら、ちゃんと連絡すること"

ふと、脳裏にいつかモトキくんに押し付けられた約束が過ぎった。

震える手を何とか動かして、モトキくんの電話番号を探す、"何かあったら"に今この状況が当てはまるのかは不明だが、もうそこにしか頼る場所は今の自分には無かった。

モ「もしもし?」

4コールも鳴りきらないうちに、モトキくんは電話に出てくれた。聞き慣れた声に堰を切ったように涙が溢れる。

「モト、キくん?」

モ「・・・Aちゃん?どうしたの?」

驚く程に声は震えて、上手く話せない私に、モトキくんも察したのか真剣な声が電話越しに届いた。


------------------

ウツボです( ˘ω˘ )
お気に入り登録、評価、コメントいただきありがとうございます、毎度通知が来る度にウツボは喜んでいます( ;∀;)
今回は嬉しくて2話のせます、皆さま本当にありがとうございます。

03→←金曜日



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (135 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
328人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あーや(プロフ) - 続きずっと待ってます!! (2022年6月1日 10時) (レス) @page17 id: 8c3c030c7b (このIDを非表示/違反報告)
秋冬(プロフ) - とても面白い作品でした。続き、待ってます。 (2022年1月11日 14時) (レス) @page17 id: 1ebc893394 (このIDを非表示/違反報告)
あまやん - とてもステキなお話で何回も読んでしまいます。続き待ってます (2020年2月9日 17時) (レス) id: 8fa0ac1e27 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きずっとお待ちしてます… (2020年1月1日 2時) (レス) id: 5fbbc7c0ba (このIDを非表示/違反報告)
www - つづき!つづき! (2019年5月5日 14時) (レス) id: 8a931a155b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ウツボ | 作成日時:2018年10月23日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。