【Fischer's】お隣さんが騒がしい！2【モトキ】 (ページ11)

今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:44,886 hit

03 ページ11

「今、どこにい・・るの？」

モ「マサイの家だけど、Aちゃんは？家？」

「うん、・・っ。」

モ「分かったすぐ行く。一応電話は繋げてて」

電話の向こうでモトキくんが誰かと話をしている声や、ドタバタと物音が聞こえる。

ガシャンッ！！！

「きゃあっ！」

扉の向こう、リビングから何かガラスが割れるような音が響いた。
電話越しにモトキくんが何か言っているのは分かっていたが、恐怖で耳を傾ける余裕すらなかった。

これがもし霊の仕業だと言うのなら、今まで霊感なんてものに縁がなかった私には、あまりにも突然で、正直、受け入れ難い。

ギシッギシッ

普段あまり軋む事ないフローリングが、そこに人がいるように音を立てて近付いてくる、必死の思いで後ろへと下がれば、ついには玄関扉に背中がぶつかった。

尚も床を軋ませながら何かは近付いてきている、目に見えないソレは、軋む音の位置からもう目前な事は嫌でも分かってしまう。

モ「Aちゃん！ドアを開けて！」

後ろからドアを叩く振動が、背中越しに伝わりハッとする。
一度、前方に意識を集中させれば、軋む音が止んでいる。隙を見て振り返り、急いでドアの鍵を捻り、外へと勢いよく飛び出した。

外にはモトキくんと、マサイくんがいて、家から飛び出した勢いで思い切りモトキくんに正面からぶつかってしまう。倒れると心配するも、モトキくんはしっかりと私を受け止めてくれた。

モ「Aちゃん大丈夫！？ケガは！？」

モトキくんには珍しく、いつもより余裕のない声で問いかける。私はただただモトキくんの胸に顔を埋めたまま、首を横に振ることしか出来なかった。

モ「ガラスの割れた音したけど、中に誰かいるの？」

「わか、らない・・っ」

嗚咽を漏らしながら答えれば、二人が戸惑ったような雰囲気を漂わせる。

マ「Aちゃん、悪いけど、家上がっていいかな。俺見てくるから。」

「えっ、・・・でも」

マ「だーい丈夫だって。心配すんなよ」

マサイくんはわたしの頭を乱暴に撫で回して、ニカッと笑って見せ、家へと入っていった。