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水に浮いているような浮遊感に目が覚める
そこはいつもと変わらない部屋で、なんにも変わっていない。
モ「どこにいるの?」
やけに静かな部屋で、俺の声は反響する。それが余計に不安を掻き立てた。
「窓のそばにいるよ」
寝室を出てリビングの窓辺を見れば、いつもとおなじAが居た。今日は天気が良いらしい、逆光で君の表情は見えづらいけど、いつも通りの笑顔の様な気がした。
モ「なにしてたの?」
「なにもしてないよ」
俺の方を見て首を傾げる君は、変わらず愛おしい。なのにどうしてこんなにも不安になるのだろうか。
モ「側においでよ」
「今、行くから待って」
喉の奥がつっかえて、少し上ずった声になった気がするが、君はそんな俺のことをクスッと笑ってくれた。
寝癖、相変わらずだね。と言いながら俺の髪を撫でる。俺の寝癖を直してくれるのもいつも君だ。
モ「ねえ、話をしようよ」
変わらず逆光のままだけど、確かめる様に側に来てくれたAの頬に手を滑らせる、指先に残る柔らかな感触が俺をホッとさせる。
「いいよ、まずモトキからね」
今日はどうしたの?と君は笑いながら俺の手に頬を擦り寄せた。
上目遣いに俺を覗き込んだ君は、微笑んだ。
「ねえ、ずっと側にいるよ」
それから、俺も君を見つめた。
サラサラの髪、俺とおなじシャンプーの匂いが鼻をかすめる。
それから、いつもと変わらない他愛ない話をしたんだ。
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www - 泣けてきた・・・感動する (2019年6月2日 21時) (レス) id: 478e89cadb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウツボ | 作成日時:2018年9月17日 8時