【13】 ページ13
Oside
「全ては謹慎と知りながら、櫻井クンを連れ回した私の責任です。申し訳ありませんでした。以後、気をつけます。」
「キヲツケマース。」
「さ、櫻井さん、棒読みですっ！」
とばっちりを受けました。
私が悪いんだけどね。
叱られた後、櫻井クンは鑑識課の上司に対し、ブツブツと文句をお経のように呟いている。
「おーのさん、さっきの人、任意同行で事情聴取が出来るといいね。」
「櫻井クンの期待に応えてあげるよ。松本クン、行こうか。」
「櫻井さんの分まで頑張ります！」
櫻井クンは一瞬だけ、いつものキャラとは違う、悲しげな表情を浮かべて去って行った。
彼のその寂しそうな背中を見て、形容し難いような変な気持ちになった。
そういえば、聞き込みの時に怪しいと思った人は明らかに嘘をついて、己の罪から逃れようとしているのだろうか？
それだったら、私が動かなければならない。
「それにしても櫻井さん、不憫ですね。言動はともかく、鑑識官としては優秀なのに…。」
「…そうだね。」
櫻井クンは地味なイメージを持たれがちな鑑識課の中で異彩を放っているというか、とにかく刑事課並みに目立っている。
容姿端麗で鑑識とは思えないような着崩した衣装、上司をなめたような言動。
だから、理不尽な目に遭ってしまうんだろう。
・
・
・
「こういう者ですが、再度、聞きたい事がありまして、署までご同行してくれませんか？」
松本クンは真面目だね。
口調も丁寧で失礼の無いように接していて完璧だ。
「何で俺が！もしかして、疑ってるんですか？」
「そんなつもりでは…。」
「正直、疑ってます。ちゃんとしたアリバイが無いのですから、疑わずには居られません。それに刑事は気になる事があれば、とことん調べます。易々と他人を信じる訳にはいきません。」
「ちょっ、大野さん！」
「失礼だとは分かってます。それでも、私を含め、大野班の刑事は事件に真剣に向き合ってます。貴方が犯人では無いのなら、アリバイを証明出来ますよね？是非、ご協力お願いします。」
「…分かったよ。行けばいいんだろ、行けば。」
「ええ。署までお願いします。」
優しく言いつつ、追い込む。
これも刑事のテクニックとドヤ顔するのは恥ずかしいが、素直に思いを伝えれば、時には良い展開になる事だってある。
事情聴取はしたけれども、結局、軽く受け流され、アリバイも丁寧に説明してくれた。
「振り出しですね。」
「さぁ、どうかな？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山風無限(プロフ) - ピーチさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです！！凄く励みになります！もうすぐ移行するので、そちらでも宜しくお願いします！ (2018年1月8日 21時) (
レス) id: 486c201f1f (このIDを非表示/違反報告)
ピーチ - 初めてまして！とっても面白いです(*^▽^*)これからも楽しみにしています(^^) (2018年1月8日 21時) (レス) id: 61c51a5765 (このIDを非表示/違反報告)
山風無限(プロフ) - みぃさん» コメントありがとうございます！色々な問題が残されたまま、ストーリーが展開していますが、後々、触れて回収していきます！個人的にはニノを早く出したいのですが…もう少しお待ち下さい！これからも作品を宜しくお願いします！ (2017年12月23日 15時) (レス) id: 486c201f1f (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - そうなんですね！ 大野くんの過去に何があったのか、翔くんが死神としてどのように活躍するのか、も含めて、楽しみにしてます(*≧∀≦*) (2017年12月23日 13時) (レス) id: 4e40d0702b (このIDを非表示/違反報告)
山風無限(プロフ) - みぃさん» コメントありがとうございます！その質問は来ると思ってました。ニノは後々、登場させるつもりです。山コンビに深く関わってくるポジションなのでお楽しみにして下さい。これからも作品を宜しくお願いします！ (2017年12月22日 6時) (レス) id: 486c201f1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山風無限 | 作成日時：2017年11月19日 14時
