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携帯が鳴った。
俺の?私の?とみんなが自分の携帯をのぞいてみると、海から探偵社のみんなへの一斉メールだ。
みんな慌てて開く。
タイトルは『探偵の皆様へ』。
『明日一○時、品川埠頭橋に小笠原眞人の手帳を持ってこい。警察には知らせるな』とある。
海からではない。
これは脅迫メールだ。
海の安否はわからない。
せめて海の無事を確認したい、と祐基はすぐさま海の携帯に電話をかけた。
しかし、すでに電源は落とされ、通話できなかった。
祐基は机の上の手帳を見た。
「この中に、八神が欲しがる何かがあるってことか……。ここまで必死に奪おうとしてるってことは、相当ヤバイなんかがあるってことだな」
「いずれにせよ、海くんの無事がかかってるわ。渡さないわけにはいかないでしょう」
瞳子が悔しそうに言う。
「……だからって、みすみす渡していいんですか?犯人つかまえましょうよ」
祐基は身を乗り出すようにして言った。
と、「ダメよ!」と瞳子にしては珍しく激しい口調で否定する。
「今度の相手は、 今までとは違う。法を犯すことをなんとも思わない、裏の世界の人間よ。あなたたちに何かあったらどうする?海くんはそれを恐れてみんなに何も言わなかったのよ。その気持ちを汲んであげて」
みんなはしんと静まり返った。
「受け渡しは、女ひとりと指定されてる。悪いけど、Aちゃん、行ってくれるかしら。身の危険を感じたら、手帳は置いてとにかく逃げて」
瞳子に言われ、Aは「はい」とうなずいた。
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作者名:MaRU | 作成日時:2018年4月26日 0時