BULLET Detective Agency 3 (ページ9)

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mission6 最初で最悪の案件ページ9

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稜雅がバレット探偵社を去ってからというもの、出勤したらまず苔丸に水をやる。

それが祐基の日課となっている。

「すっかり苔丸係だな」

海がそんな祐基を見て笑っている。

と、祐基は稜雅の机の下に段ボールが置きっぱなしになっていることに気づいた。

「まだ片付けてないのがあったのか」

先日、警察から返却された押収物の段ボールがそのまま残っていたようだ。

Aと晃一ものぞきこんできたので、祐基は段ボールを開けてみた。

中から出てきたのは古いアルバムだ。

めくってみると、探偵社のドアの前で笑う、瞳子と海のツーショットの写真が出てきた。

『二〇〇四・四』と年月が記されている。

「〇四年……一四年前か。瞳子さん、かわええ！」

晃一もAも、若かりし頃のあどけなさが残る瞳子を大絶賛する。

「懐かしいもの見てるわね」

「創業時の写真か」

瞳子と海も近づいてきた。

大学を卒業して二年目の海と、警察の水が肌に合わずにやめたばかりの瞳子の写真を見て、当人たちは懐かしそうに目を細めている。

「海も瞳子さんも、一四年もここで働いてるんですね」

そう感心している祐基に晃一が尋ねる。

「祐基、今までひとつの仕事、どれくらい続いたことあるん？」

「せいぜい七ヶ月かな。どれも続かないんだよな、なんでだろ」

首をかしげる祐基を、何か言いたげな様子で瞳子がじっと見つめる。

「あ、そうや。海、明日、小林さんに渡す報告書」

晃一が思い出し、海に報告書を渡すと、海が古びたナンバリングスタンプで、右上に『二〇〇〇』と刻印する。

大きな節目となる二〇〇〇件目の調査が完了したのだ。

「二〇〇〇件か。すごいね」

祐基は言ったが、晃一は複雑な表情だ。

「まあ、結果は残念やけどな。不倫調査の依頼やったんやけど、奥さんの読みどおり旦那の浮気確定。同時に離婚も確定」

嫌な空気がながれたので、話題を変えるように祐基が海に尋ねた。

「……瞳子さんと海が受けた一件目の依頼って、どんな案件だったんですか？」

「うーん。言っちゃえば、『最悪の案件』ってとこかしら」

口を開いたのは、瞳子だ。

「最悪の案件？」

祐基が瞳子の顔を見たとき、電話が鳴った。