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「おばあちゃんが本当に捜してた物は……内藤さんと歩むはずだった未来なんだよね」
祐基はトメを見つめて問いかけるように言った。
「バカやな。綺麗ごとやねん、ばあちゃんのやってきたことは。幸せになってよかってん。亡くなったその人のためにも幸せにならなあかんかってん」
晃一はあえて厳しい口調で言いながら、トメに箱を渡した。
トメが開けると『内藤一喜一等兵』と書かれた勲章が入っている。
トメは勲章に触れた途端、涙を流した。
「……これは？」
「内藤さんの弟の息子さんが持ってた。事情を話したら、そんなに思ってくれてる方がいるなら渡してくれって、俺たちに託してくれたんや」
「一喜さん、帰ってきてくれたのね……約束を果たしてくれたのね」
「……少しでも幸せを味わってもらえた？」
トメは勲章を抱きしめながら、深くうなずいた。
「ばあちゃん。なら、生きたほうがええ。少しでも可能性があるなら……今が幸せなら、絶対生きたほうがええ。この金いらんから、これで治療受けてくれ」
晃一はやさしく、トメの肩に手を置いた。
トメは泣きながらうなずいている。
「おばあちゃん」
祐基はポケットから浅草寺のお守りを出して、トメに渡した。
晃一に頼まれて買ってきたものだ。
「人生半分もいってない俺が言うのもなんだけど。がんばって生きようよ。この先は、これがおばあちゃん、守ってくれるから」
祐基が言うと、トメは勲章とお守りを握りしめて、泣きながら笑みを浮かべた。
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作者名：MaRU | 作成日時：2018年4月17日 16時
