ページ ページ40
.
祐基がトメの家から出勤すると、少し遅れて晃一もやってきた。
「あれ？服が一緒じゃない。帰らなかったの？」
出勤した晃一を見て、瞳子が言った。
やはり瞳子は鋭い。
「知り合いの女の家に泊まったんです」
見栄を張ってそんなことを言った晃一は、真面目な顔で瞳子に向き直った。
「この人について、うちで調べたらダメですか？調査費を預かってきました」
晃一はある男の資料とお金の入った封筒を出した。
「晃一。依頼人がここに来ないと依頼は受けられないぞ」
海が釘を刺す。
「依頼人は……体を壊して入院してるから、ここには来れん。あとで契約書のサインはもらってくる」
晃一は海に資料を渡す。
「内藤一喜……この人は？」
海が言うのと同時に、祐基は晃一を見た。
これは……トメの昔の恋人だ。
「うちのおかんの従兄弟のおじさんのおとん」
「わかりにくいな……依頼人は？」
「うちのおかんの従兄弟のおじさんのおとんの息子。せやから、親戚ってことで俺がサインをしてもええくらい」
「この人を調べればいいのね。わかったわ。うちで捜しましょう。お願いできますか？」
瞳子がみんなに尋ねたが、海は晃一の仕事を手伝うのは気が進まないとへそを曲げている。
それを見て晃一が言った。
「俺の携帯を鳴らして。鳴らせばわかる」
海が渋々晃一の携帯にかけると『徳川家康』と表示された。
「徳川家康……しょうがないな」
頬をゆるませている海に、祐基は「単純すぎるでしょ！」とつっこみを入れた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：MaRU | 作成日時：2018年4月17日 16時
