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その頃、千崎は羽田空港の航空機待機場で作業をしていた。
ボーイング七六七のすぐそばで三〇〇個ほどのゴミ袋ひとつひとつを開けてゴミの中からひたすら遺失物を捜す。
「あー臭い……まだこれだけあるんですね…… 」
山下はまだチェックしていない膨大な数のゴミ袋を見て、ため息をついている。
「がんばらないと」
千崎は一心不乱にゴミの中を探った。
「携帯ですか?」
整備士が千崎の作業をのぞきこむ。
「はい。修学旅行の便で……高校生が弁当のゴミ回収のときに間違えて捨てたみたい」
機内では電源を切らないとならず、鳴らして捜すこともできない。
整備士は「たいへんだな」と言って、手伝ってくれた。
その後もひたすらゴミ袋を開けては携帯を捜し続けた。
流石に腰が痛くなり、背中を伸ばして深呼吸をすると、ほかの社員が一生懸命捜している姿が目に入った。
千崎は少しほほえみ、次の袋を開けた。
手を突っ込むと、何か四角くて硬いものに触れた。
これは……、
「あった!」
千崎が携帯を手に取ると、わあっと歓声が上がった。
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作者名:MaRU | 作成日時:2018年4月17日 16時