不器用なダーリン【三途春千夜】

不器用.7 ページ7

三途「…っ、また…やった…」
Aが出て行ったリビングで呟く

いつもより…悲しい顔させた…
ブス、なんて思ってもないこと言って

Aを傷つけた
…俺、クソ野郎だ

明るいとこでAの寝顔を見るのは初めてで
めちゃくちゃ可愛くて…

そのままにしといたら襲いそうで
ブランケットをかけて慌てて逃げた

戻ってきたらAは起きてたけど
さっきの寝顔がチラついて

普通に話してたら我慢できなくなりそうで…
足音をたてないように寝室の前まで行く

耳を澄ますとAのすすり泣く声がした
三途「………ごめん…」

自分でも聞こえないくらい小さく謝って
寝室の扉に体重をかけて座った

辛い、辛い、悲しい、苦しい…
なんて…それはAの気持ちだろう

ブス、とか言われて…
例え嫌いな相手でも

怖いと思ってる相手でも
容姿を否定されるのは悲しいに決まってる

でも自分勝手な俺は
心臓に吹き付ける風が冷たくて、寒くて…

クスリに頼りたくなる
手を出しそうになる

……絶対だめだ
家にいるときはしないって決めてる

クスリやったら全部飛ぶ
理性も情緒も全部

そうなったらAに手を出して、泣かせる
今もAは泣いてるけど

それとは次元が違う
綺麗な体に傷をつけたくない

三途「ごめんな…」
こんなこと、言いたいわけじゃないのに…

言い訳だって分かってるけど
…ごめんな…

三途「世界一可愛い…ブスなんて…嘘だ」
この世の誰より可愛い

ソファーで寝るくらいならベッドで寝ろ、ってのは
本当に本音だけど

お出迎えは嬉しい…
疲れが吹っ飛ぶから

でもAには負担だって分かってる
三途「俺なんか気にせず寝てろよ…」

そしたら…
泣かせることもないのに…



私にだけいじわるな彼【松野千冬】

千冬の新作です！
もしよかったら読んでみてください！

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