不器用なダーリン【三途春千夜】

不器用.1 ページ1

貴「おかえりなさい。春千夜さん」
三途「……」

その言葉を無視して
私の横を通り過ぎる

貴「……」
どうしようもない虚しさが募る

朝に着て行ったものとは違うスーツで帰ってきて
彼はすぐお風呂に入る

仕事帰りの彼は
いつも少し鉄の匂いがする

…やっぱり私は春くんに好かれてないんだな…
私たちは恋愛結婚じゃない

互いの利益だけを求めた政略結婚だ
私は春くんのことが好きだということはさておき

春くんは私を無視するし
私のことをよく思っていないのだろう

貴「ご飯も食べて貰えないだろうなぁ…」
そうとは分かっていながら

毎日作っているけど
食べてくれたことは1度もない

春くんの分が残ってしまうので
次の日の私の朝食になっている

彼の仕事内容は知ってる
…それでも、私は彼が好きだ

そんなことを思っているうちに
春くんがお風呂から上がってきた

貴「春千夜さん、お夕飯は…」
三途「いらね」

貴「…そう、ですか…」
分かっていてもやっぱり悲しいな…

春くん、おくすりもしてるし…
少しでも栄養とってほしいんだけど…

三途「てかお前、遅いんだから早く寝ろよ。どうせ夕飯食わねぇのも分かってんだろ」

お風呂上がりで濡れた髪をガシガシ拭きながら
私の方を見ないで吐き捨てるように言う

貴「…ごめんなさい…おやすみなさい、春千夜さん…」
そう言ってからリビングを出る

…好きな人に冷たくされるのは悲しいな…
春くんがベッドに来る前に寝ないと…

何故だか分からないけど
ベッドは一緒で…

私のこと嫌いなら分ければいいのに…
…春くんは不思議な人だ

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