ほんと、不器用だなぁ【USSS】

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「じゃあ出発しますよ〜」


『は、はいっお願いします……』




助手席に座ってシートベルトを締め、うるさい鼓動を静めるようにこっそり深呼吸する。


後ろに乗ろうとしたら、隣座り？と言われて大人しく助手席に乗ってしまった。






いつも隣で勉強を教えてもらっているのに、車内の隣はなぜか緊張してしまう。




運転してる姿、かっこいい……。

先生とのドライブデートってこんな感じなんだろうなぁ。

先生、やっぱり彼女いるのかなぁ。





って、なに考えてるんだわたし……！！








「もしかして緊張してる？」


『そ、そりゃあしますよ……』


「肩に力入ってるの分かりやすっ！」


『も〜笑わないでください！』



男の人の車に乗って送ってもらうなんて初体験なんだから……





『先生は何回もあるのかもしれないけど……』


「ん？」


『えっ？』


「なにが先生は何回もあるって？」





え、うそ、私いま声に出てた！？



先生はきっと今までに何人もの女の人をこの助手席に乗せて運転したんだろう、と考えていたら無意識に声に出してしまっていたらしい。




『いや、先生はこういうの慣れてるんだろなって……』


「こういうのって？」


『女の人を車に乗せて送り迎えしたり、ドライブしたり、とか……』





自分で言ったのに恥ずかしくなって、徐々に声が小さくなってしまう。

これで確かに何回もあるな〜、とか言われたら普通に嫌かも。













「いや、ないけど」


『……え？』


「そう言われれば男しか乗せたことないなぁ、この車」


『で、でも彼女とか……』


「彼女なんかいーひんわ」







先生……彼女いないの？？


センラ先生はいま大学3年生だから、大学でもきっとモテモテだろうし。






『絶対いると思ってました』


「ほんま？彼女おりそう？」


『はい！だから今びっくりしてます……』


「だからA……あっ」









え？


いま……














『私のことAって……』


「坂田くんがずっとAって呼んでるの聞いてたら無意識に俺も言ってしまったわ、ごめん」


『…………』


「Aさんが初めてこの車に乗った女やねんって言おうと思って」









先生、







『……呼んでください』










私のこと、もっともっと名前で呼んでください…

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