不器用すぎて愛しくて。

不器用09 ページ9

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「Aちゃん！ 大丈夫！？」









心配そうに声を上げて

私の顔を覗きこんだのは聡くん。









どうして

聡くんってこんなに優しいんだろう。









そんなに不安げな表情で見るから

聡くんの気持ちが分からなくなる。









「全然大丈夫！」









優しすぎて

苦しい。









いっそのこと

突き放してくれたら

嫌いに、なれたら。









「立てるか？」









私を曇った気分から引き戻したのは

前にも聞いた

優しい、遠慮がちな声。









「ご、ごめんね！ 菊池くん！
　菊池くんは大丈夫！？」









はっとして

私が立ち上がると









「……大丈夫」









菊池くんも

私を心配そうに見てる。









なにか言いたげに開いた口を

菊池くんはキュッと閉じて

落ちた本を拾い始めた。









聡くんが持っている本と

私の持っていた沢山の本を

半分くらいずつ持つと









「菊池くん……」









聡くんが驚いたように眺めていて。









菊池くんって

ほんとはすごく優しいってこと

分かってくれたかな。









何故か私が得意気になって

二人を見ていた。









「……どこに運べばいい？」









もっと皆に

菊池くんが優しいって気付いてほしい。









そう思う反面、

私だけが知っていたいと思うのは

何故なんだろう。









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