不器用すぎて愛しくて。

不器用36 ページ36

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「最後にひとつ、いい？」

「まだあんの？」









呆れたように笑うキミに

最後の質問。









「私のこと、ほんとに好き？」









私が尋ねると

少し固まって、顔を背けた菊池くんの耳が赤い。









「ねぇ、」









そんな反応が面白くて

菊池くんの肩に手を伸ばすと。









振り向いた菊池くんは私の手をつかんで

視界が、菊池くんでいっぱいになった。









「……っ、」









「なんて顔してんだよ」









微かに頬を赤らめた菊池くんが

幸せそうに笑う。









温もりを残した唇が

突然の出来事を主張してきて。









「いっ、今、」

「動揺しすぎ」









私から目を逸らしてからかってる菊池くんの

手が小さく震えていたことに

私は気付いてた。









菊池くんは、嘘が下手。









震えてる手を握ると

驚いたようにびく、と揺れて。









不機嫌にそっぽを向いて

ゆっくりその手を握り返した。









ヤンキーだと

怖いと

恐れられていたキミは。








ただ、優しすぎるだけ。




どうやって相手に伝えればいいのかが

分からないだけ。





……不器用、すぎるだけ。







それでも、彼なりに伝えてくれる好きは

暖かくて、優しい。









ふいに私を見た彼が

大人びた表情を浮かべる。









「好きだよ……伝えきれないくらい」









掠れた声でそう言って

また優しく微笑んだ。









「私もだよ」

「……知ってる、」

「ねぇ、緊張した？」

「……別に、」









そんなキミは

不器用すぎて









……こんなにも、愛おしい。









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