不器用すぎて愛しくて。

不器用31 ページ31

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「終わったぁ……」









今日に限って委員会は長引いて

私はずっと焦るばかりで。









「お疲れさま」

「お疲れ様！ じゃあ行くね！」









ポカンとした聡くんにそれだけ言って

私は真っ直ぐ教室に走り出す。









気づけばあんなに大きかった

聡くんの存在は

好きな友達に変わっていて。









今、頭に浮かぶのは

菊池くんだけ。









早く、行かなきゃ。






もう帰っちゃったかな。








不安で、緊張して。

でも、早く会いたい。









また、優しい笑顔がみたい。









「着いた、」









教室の扉の前。

中から人の気配はしなくて。









ばくばくとうるさい心臓が

今にも口から飛び出そう。









次こそ、ちゃんと。

この想いを。









「菊池くん、お待た……せ、」









思いきって扉を開けると

目に入ったのは、伏せている菊池くん。









「……菊池くん、？」









菊池くんの席に

ゆっくりと近づいて。









「寝てるの？」









気持ち良さそうに目を瞑る菊池くんから

返事は返ってこない。









「こんなことってある？」









どれだけ緊張したと思ってるの、なんて

思ってみたけれど。








菊池くんの寝顔を見たら

そんなのは全部吹っ飛んだ。









「かわい、」









意外と幼い顔立ちに

思わず笑みがこぼれた。









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